大臣許可と知事許可のどちらになるかは、会社の規模でも工事の金額でも決まりません。決め手は営業所の数と所在地です。2以上の都道府県の区域内に営業所を設けて建設業を営むなら国土交通大臣許可、1つの都道府県の区域内にだけ営業所を設けるなら、その都道府県の知事許可になります。
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これは建設業法第3条第1項が、そのままの形で定めているルールです。ここでいう営業所は、本店・支店のほか、常時建設工事の請負契約を締結する事務所を含みます(同項かっこ書き、施行令第1条)。だから、千葉県内だけで営業してきた会社が東京都や埼玉県に支店を出した時点で、必要な許可は知事許可から大臣許可に変わります。逆に、複数県に営業所を持つ会社が1県だけに絞れば、大臣許可から知事許可に戻ります。
この記事では、判定のしかた、営業所の数え方、大臣許可の要件、窓口と審査、許可換えの手続き、更新と変更届、実務で変わることを順に整理します。一般建設業と特定建設業の区分は許可の「格」の話であって大臣・知事とは別の軸ですから、一般建設業と特定建設業の違いに譲ります。
大臣許可と知事許可の違いは「営業所の数と所在地」だけ
建設業法第3条第1項は、許可を二つに分けています。二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業しようとする場合は国土交通大臣の許可、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業しようとする場合は当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可です。判断材料は営業所の配置だけであり、資本金、売上高、従業員数、請負代金の額は関係しません。
この点について、実務では3つの誤解がよく見られます。ひとつ目は「大きな工事を請け負うなら大臣許可」という誤解です。工事の金額で決まるのは一般建設業と特定建設業の区分(下請代金の額が5000万円以上、建築工事業は8000万円以上)であって、大臣・知事の区分ではありません。二つ目は「大臣許可のほうが上位の許可」という誤解です。許可の基準は大臣許可も知事許可も同じ建設業法第7条で、優劣はありません。三つ目は「大臣許可なら全国で工事ができる」という誤解です。
三つ目は特に注意が必要です。国土交通省関東地方整備局の「建設業許可申請・変更の手引き」は、大臣許可と知事許可の別は営業所の所在地で区分されるものであり、営業し得る区域または建設工事を施工し得る区域に制限はない、と明記しています。つまり知事許可の業者でも、営業所を置いていない他都道府県の工事を請け負うことはできます。大臣許可を取っても工事できる範囲が広がるわけではなく、あくまで「2県以上に営業所を置く場合の許可」だということです。
両者の違いが実際に現れるのは、申請や届出の窓口、提出部数、法定費用、審査にかかる期間、台帳の閲覧先、経営事項審査(経審)の申請先といった手続きの部分です。まずは全体像を次の表で押さえてください。
| 項目 | 大臣許可と知事許可の違い |
|---|---|
| 決め手 | 営業所が2以上の都道府県にあるか。あれば大臣許可、1県だけなら知事許可 |
| 根拠 | 建設業法第3条第1項(許可の区分)と施行令第1条(営業所の定義) |
| 申請先 | 大臣は関東地方整備局、知事は本店所在地を管轄する土木事務所 |
| 提出部数 | 大臣は正本・副本の2部、知事は正本・副本・控えの3部 |
| 法定費用 | 大臣は登録免許税15万円(新規・1区分)、知事は収入証紙9万円 |
| 標準処理期間 | 大臣は概ね90日、知事は45日。いずれも補正の期間を含まない |
| 経審の申請先 | 大臣は関東地方整備局、知事は千葉県 |
| 台帳の閲覧 | 大臣は国の検索システムと整備局、知事は千葉県庁の閲覧室 |
判定のしかた|営業所を数えて2県以上なら大臣許可
判定は3つの手順で終わります。まず、建設業の営業に使っている拠点をすべて書き出します。本店、支店、営業所、契約を締結している事務所です。次に、それぞれの所在地の都道府県を数えます。最後に、都道府県が2つ以上になれば大臣許可、1つだけならその県の知事許可と判断します。同じ県内に本店と支店があっても、都道府県は1つなので知事許可です。
| 営業所の状況 | 必要な許可 |
|---|---|
| 1つの都道府県だけ | その都道府県の知事許可 |
| 2つ以上の都道府県 | 国土交通大臣許可 |
| 同じ県内に本店と支店 | その県の知事許可 |
| 他県に常時契約する事務所 | 国土交通大臣許可 |
| 他県に資材置場だけ | 営業所に数えないため知事許可のまま |
具体例で確認します。千葉市中央区に本店があり、江東区に支店を置いて東京の工事の契約をしている会社は、千葉県と東京都の2県に営業所を持つため大臣許可です。千葉市中央区に本店、船橋市に営業所という会社は千葉県内だけなので知事許可です。千葉市の本店と、茨城県土浦市の資材置場という会社は、資材置場が契約を締結する事務所でなければ営業所に当たらず、知事許可のままになります。
もう一つ押さえておきたいのは、許可が必要かどうかの線引きです。工事1件の請負代金が500万円(建築一式工事は1500万円)に満たない工事、または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅を建てる工事は、施行令第1条の2の「軽微な建設工事」に当たり、許可そのものが不要です。ただし、許可を受けている業種については、軽微な工事のみを請け負う場合でも、届け出ている営業所以外では営業できません。営業所の届出と実際の営業拠点がずれていると、この部分でつまずきます。
「営業所」の考え方|本店・支店・常時契約する事務所
大臣許可か知事許可かを分けるのが営業所ですから、営業所の定義を正確に知っておく必要があります。建設業法第3条第1項は、営業所を「本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるもの」と定義しています。政令に当たる建設業法施行令第1条は、これに準ずる営業所を「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」と定めました。つまり営業所は、本店、支店、常時契約を締結する事務所の3種類です。
本店と支店は、常時契約を締結する事務所でなくても営業所に当たります。関東地方整備局の手引きは、本店・支店が他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与している場合には営業所に該当する、と説明しています。登記簿上の本店というだけで実態が別の場所にある場合でも、実質的な営業の本拠がそこにあるなら本店として扱われます。
「常時請負契約を締結する事務所」は、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結といった、契約の締結に係る実質的な行為を行う事務所を指します。契約書の名義人がその事務所を代表する者であるかどうかは問いません。逆に、単に登記上の本店に過ぎないものや、建設業を他の営業と兼営する場合の支店であって建設業にまったく無関係なものは、営業所に該当しません。
実務では、この定義が「思わぬ大臣許可」と「思わぬ知事許可」を生みます。地方に倉庫や資材置場を持っていても、そこで契約を締結していなければ営業所ではないため、知事許可のままで構いません。一方、現場ごとに置く現場事務所も、原則として営業所ではありません。ただし、その事務所が常時、見積りや契約締結を行っているのであれば、名称にかかわらず営業所に当たります。拠点の名称ではなく、そこで何をしているかで判断してください。
営業所が増えると、許可の区分が変わるだけでなく、営業所ごとに置く技術者、社会保険の適用事業所の届出、変更届の対象が増えます。拠点を増やす計画があるなら、契約締結をその拠点で行うのかどうかを先に決めておくと、必要な許可と費用が確定します。許可取得後の届出や更新の全体像は建設業許可を取得した後にやることにまとめています。
大臣許可の要件|基準は同じで、営業所ごとの技術者が増える
大臣許可だからといって、知事許可より厳しい基準が課されるわけではありません。どちらも建設業法第7条の許可基準を満たす必要があり、基準の中身は同じです。具体的には、経営業務の管理を適正に行う能力(第1号)、営業所ごとに営業所技術者を専任で置くこと(第2号)、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと(第3号)、請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用(第4号)です。加えて第8条の欠格事由に該当しないことが求められます。
大臣許可で実務上の負担が増えるのは、第2号の「営業所ごとに」という部分です。千葉県と東京都にそれぞれ営業所を置けば、2つの営業所それぞれに営業所技術者を専任で置かなければなりません。専任とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することをいい、他の営業所の専任を兼ねることはできません。したがって、2県に営業所を持つ大臣許可の業者は、最低でも2人の営業所技術者を確保する必要があります。ここが、大臣許可を検討するときに最初に確認すべき点です。
なお、令和6年12月13日施行の改正により、条文上の「専任技術者」という呼称は「営業所技術者」に改められました。一般建設業は営業所技術者、特定建設業は特定営業所技術者です。呼び方は変わりましたが、営業所ごとに専任で1人以上を置くという枠組みは維持されています。古い資料や社内の呼び方と突き合わせるときは読み替えてください。
経営業務管理責任者は、営業所ごとではなく法人全体で1人です。建設業法施行規則第7条第1号により、常勤役員等のうち1人が、建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験などを有していることが求められます。営業所が2つになっても2人必要になるわけではありません。一方、社会保険については、規則第7条第2号により、健康保険・厚生年金保険・雇用保険の適用事業所に該当するすべての営業所で届書を提出していることが求められます。営業所が増えれば、その営業所分の手続きも増えます。
営業所技術者は、現場の主任技術者や監理技術者を兼ねられないのが原則です。ただし関東地方整備局の手引きは、①その技術者が所属する営業所で契約締結した工事であること、②現場の職務に従事しながら所属営業所の職務が適正に遂行できる程度に近接した現場であること、③所属営業所と常時連絡をとり得る体制にあること、の3つを満たす場合には兼ねることができるとしています。人材が限られる中で大臣許可を維持するときは、この兼務の要件を確認しておく価値があります。
一般建設業と特定建設業のどちらを取るかは、大臣・知事とは別の判断です。発注者から直接請け負った1件の工事について、下請代金の額が5000万円以上(建築工事業は8000万円以上)となる下請契約を締結するなら特定建設業、それ以外なら一般建設業になります。この区分の考え方は一般建設業と特定建設業の違いで詳しく説明しています。大臣許可を取る場合も、業種ごとに一般か特定かを選ぶ点は変わりません。
申請窓口と審査|関東地方整備局か、土木事務所か
申請先は許可の区分で変わります。大臣許可は国土交通省関東地方整備局、知事許可は本店所在地を管轄する千葉県の土木事務所です。大臣許可の窓口は、関東地方整備局建政部建設産業第一課(埼玉県さいたま市中央区新都心2-1、さいたま新都心合同庁舎2号館)で、電話は048-601-3151です。千葉県のページにも、大臣許可の申請・変更届は取扱いが千葉県と異なるため関東地方整備局へ問い合わせるよう案内があります。
| 区分 | 提出先と部数 |
|---|---|
| 大臣許可 | 関東地方整備局 建政部 建設産業第一課(さいたま市)。正本・副本各1部。郵送または持参 |
| 知事許可 | 本店所在地を管轄する土木事務所。正本・副本・控えの3部 |
| 大臣変更 | 関東地方整備局。提出方法は許可申請に準じる |
| 知事変更 | 管轄の土木事務所。正本1部・写し1部・控え1部 |
大臣許可の申請書類は、原則として関東地方整備局へ郵送します。持参する場合は、午前9時30分から11時まで、午後1時から4時までが受付時間です。提出部数は正本と副本の各1部で、副本は申請者の控えになります。副本に受領印が必要な場合は、副本と返信用封筒を同封しますが、返送までには2週間程度かかります。重要な書類なので、一般書留など記録の残る方法で送ってください。
知事許可は、本店所在地を管轄する土木事務所が窓口です。千葉県内には14か所の土木事務所があり、ほかに安房土木事務所の鴨川出張所があります。たとえば千葉市・習志野市・八千代市は千葉土木事務所、市川市・船橋市・浦安市は葛南土木事務所の管轄です。提出部数は正本・副本・申請者控えの3部で、郵送する場合は返信用封筒を同封します。書類の組み立て方は建設業許可の書類の書き方で確認できます。
法定費用も区分で異なります。大臣許可の新規は登録免許税で、主たる営業所の所在地を所管する地方整備局等の所在地を管轄する税務署に納めます。関東地方整備局が窓口になる場合は浦和税務署が納入先です。知事許可の新規は千葉県の収入証紙です。更新と業種追加は、大臣許可なら収入印紙、知事許可なら収入証紙で納めます。
| 区分 | 大臣許可と知事許可の法定費用 |
|---|---|
| 新規1区分 | 大臣15万円(登録免許税)/知事9万円(収入証紙) |
| 新規2区分 | 大臣30万円/知事18万円 |
| 許可換え | 大臣15万円・30万円/知事9万円・18万円 |
| 業種追加 | 大臣5万円・10万円(収入印紙)/知事も同額 |
| 更新 | 大臣5万円・10万円/知事も同額 |
審査にかかる期間も大きく違います。関東地方整備局の手引きでは、大臣許可の標準的な処理期間は申請から処分まで概ね90日程度で、補正に要する期間は含まないとされています。千葉県の手引きでは、知事許可の標準処理期間は45日です。どちらも「目安」であり、書類の不備があればその分延びます。大臣許可は知事許可のおよそ2倍の期間を見ておく必要があり、営業開始の予定から逆算して申請時期を決めてください。
許可通知書の送り方も異なります。大臣許可は、関東地方整備局から申請者の主たる営業所(本社)へ簡易書留で郵送されます。紛失や変更事項があっても再交付はできません。知事許可は、原則として申請者本人に特定記録郵便で郵送され、電子申請の場合は紙媒体か電子データかを選べます。いずれも窓口での交付は行いません。
電子申請はどちらの許可でも利用できます。国が運営する建設業許可・経営事項審査電子申請システム(JCIP)を使い、千葉県の知事許可・経審は令和5年1月10日から電子受付が始まりました。ただし承継の認可申請は電子申請に対応していません。電子申請の操作手順とGビズIDの準備は建設業許可の電子申請にまとめています。
許可換えの手続き|知事から大臣、大臣から知事へ
営業所の配置が変わって許可の区分が変わる場合、新しい許可を取り直すことになります。これを許可換えといい、建設業法第9条第1項が3つの場面を定めています。ひとつ目は、国土交通大臣の許可を受けている者が1つの都道府県の区域内にのみ営業所を有することとなったとき(第1号)。二つ目は、都道府県知事の許可を受けている者が、その県内の営業所を廃止して他の1つの都道府県の区域内に営業所を設置することとなったとき(第2号)。三つ目は、都道府県知事の許可を受けている者が2つ以上の都道府県の区域内に営業所を有することとなったとき(第3号)です。
千葉県の会社にとって多いのは、第3号の知事許可から大臣許可への切り替えです。千葉県の知事許可で営業してきた会社が、東京都や埼玉県、茨城県に営業所を設けて契約を締結するようになると、その時点で大臣許可が必要になります。逆に、複数県の営業所を整理して千葉県内だけにした場合は、第1号に当たり知事許可への切り替えが必要です。県内の営業所を閉じて他県に移る場合は第2号で、移転先の県の知事許可を取ります。
申請の区分は「許可換え新規」です。新規申請と同じ許可申請書を提出し、手数料も新規と同じ額になります。大臣許可なら登録免許税15万円(一般と特定の両方を申請する場合は30万円)、知事許可なら収入証紙9万円(両方なら18万円)です。許可換えだからといって安くなるわけではありません。ここは誤解されやすい点です。
一方で、添付書類は軽くなります。法第9条第2項が法第6条第2項を準用しているため、許可換えの申請では工事経歴書、直前3年の工事施工金額を記載した書面、使用人数を記載した書面の添付を省略できます。更新申請と同じ扱いです。ただし、営業所の状況や技術者の配置が変わっている場合は、その部分の確認資料は必要になります。省略できるのは更新と共通の3種類だと考えておいてください。
従前の許可の効力にも決まりがあります。法第9条第1項により、新しい許可を受けた時点で従前の許可は効力を失います。つまり大臣許可と知事許可が二重に残ることはありません。また、法第9条第2項は法第3条第4項を準用しているため、許可換えの申請があってから処分がされるまでの間は、従前の許可がなお効力を有します。申請中だから営業できない、ということはありません。
申請の時期は、新しい営業所で営業を始める前です。2県目の営業所を設けて契約を締結し始めた後に大臣許可を申請すると、その間の営業は無許可営業とみなされる可能性があります。大臣許可の標準処理期間は概ね90日ですから、拠点の開設を決めた時点で、開設日から逆算して申請を準備してください。なお、営業所の新設・廃止そのものは変更届の対象ですが、許可の区分が変わる場合は変更届では済まず、許可換えの申請が必要です。この整理を間違えると、変更届だけ出して営業を続けてしまう事故になります。
更新と変更届|5年・30日前、そして提出先が変わる
許可の有効期間は5年です(法第3条第3項)。更新を受けようとする者は、有効期間満了の日の30日前までに許可申請書を提出しなければなりません(建設業法施行規則第5条)。千葉県の手引きでは、満了日の90日前から30日前までに申請するよう案内しています。関東地方整備局の手引きでも、更新は満了日の30日前まで、申請の受付は目安として3か月前からとされています。法律上の期限は30日前、準備の目安は3か月前と覚えてください。
| 手続き | 期限と根拠 |
|---|---|
| 更新申請 | 有効期間満了日の30日前まで(規則5条) |
| 有効期間 | 許可日から5年(法3条3項) |
| 変更届 | 変更から30日以内(法11条1項) |
| 後任技術者 | 2週間以内(法11条4項) |
| 事業年度終了届 | 事業年度終了後4か月以内(法11条2項) |
更新の申請があれば、満了の日までに処分がされなくても、従前の許可は処分がされるまでの間は有効です(法第3条第4項)。更新がされた場合の新しい有効期間は、従前の許可の有効期間の満了の日の翌日から起算します(同条第5項)。つまり更新が遅れて処分が後ろにずれても、5年の起算点は変わりません。更新の実務と失敗例は建設業許可の更新手続きに詳しく書いています。
変更届は、商号や名称、営業所の名称・所在地、資本金額や役員等の氏名、個人事業主の氏名や支配人、営業所技術者の氏名といった事項に変更があったとき、30日以内に提出します(法第11条第1項)。営業所技術者が置かれなくなった場合や、許可基準を満たさなくなった場合は2週間以内です(同条第4項・第5項)。事業年度終了届は事業年度終了後4か月以内です(同条第2項)。変更届の期限と必要書類は建設業許可の変更届にまとめています。
大臣許可と知事許可で変わるのは、この変更届の提出先です。大臣許可なら関東地方整備局、知事許可なら管轄の土木事務所に提出します。提出部数も、大臣は許可申請に準じて正本と副本、知事は正本・写し・控えの3部です。営業所の所在地変更が県をまたぐ場合は、変更届ではなく許可換えが必要になることがあります。同じ「住所が変わった」でも、中身によって手続きが変わるので注意してください。
変更届を出さずに放置した場合のリスクも押さえておきます。法第50条第2号は、第11条第1項から第4項までの規定による書類を提出せず、又は虚偽の記載をして提出したときを、6月以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金の対象としています。あわせて、必要な届出がされていないと、次の許可申請の手続きができない場合があります。千葉県の手引きにも、新規以外の申請にあたり未提出の変更届がある場合は申請と併せて提出が必要と書かれています。届出漏れは、更新や許可換えの場面でまとめて表面化します。
実務で変わること|窓口・台帳・経審・入札参加資格
許可の区分が変わると、日常の実務で接する窓口と書類が変わります。まず窓口です。大臣許可は関東地方整備局が担当し、都道府県を経由せずに直接提出します。知事許可は本店所在地を管轄する土木事務所が担当します。同じ「建設業許可の相談」でも、電話をかける先がまったく別になるということです。申請の進み具合の問い合わせも、それぞれの窓口に対して行います。
次に台帳です。建設業の許可申請書や変更届は、法第13条により公衆の閲覧に供されます。千葉県では、知事許可に係る書類を千葉県庁中庁舎7階の建設業許可書類閲覧室で閲覧できます。事前予約制で、月曜・火曜・木曜・金曜の4日、1人1日1枠まで、水曜は書類整理のため閉室です。一方、国の建設業者・宅地建物取引業者等企業情報検索システムでは、大臣許可と知事許可の業者情報を検索できます。取引先の許可を確認するときは、まずこの検索システムを使うのが速い方法です。
経営事項審査の申請先も変わります。大臣許可の業者は関東地方整備局、知事許可の業者は千葉県です。かつては都道府県を経由する事務がありましたが、令和2年4月1日から、国土交通大臣許可の建設業者の経審は都県経由事務が廃止され、関東地方整備局へ直接申請する運用になりました。経審の内容そのものは許可の区分で変わりませんが、申請先と結果通知の窓口が変わる点は実務に影響します。経審の仕組みは経営事項審査とはで確認できます。
入札参加資格は、許可とは別に取るものです。国の機関が発注する工事に参加するには全省庁統一資格の申請が必要で、千葉県が発注する工事に参加するには千葉県の入札参加資格が必要です。大臣許可を持っていれば自動的に千葉県の資格が得られるわけではありませんし、知事許可を持っていれば国の資格が得られるわけでもありません。許可の区分と入札参加資格は別の制度だと理解しておいてください。千葉県の入札参加資格の申請方法は建設業の入札参加資格にまとめています。
実務の負担という意味では、大臣許可のほうが管理する対象が多くなります。営業所ごとの営業所技術者の確保、すべての営業所の社会保険の届出、営業所ごとの変更届、複数の都道府県にまたがる許可換えの判断。これらを一人で回すのは現実的ではないため、許可の区分を変えるタイミングで、社内の担当者を決め、手続きの一覧を作っておくことが有効です。許可の取得後にやるべきことの一覧は建設業許可を取得した後にやることにまとめました。
よくある質問
大臣許可のほうが要件は厳しいですか?
厳しくはありません。許可基準は大臣許可も知事許可も建設業法第7条で共通です。負担が増えるのは、営業所ごとに営業所技術者を専任で置く必要がある点です。2県に営業所があれば2人必要になり、結果として人件費や確保の難しさが増します。基準そのものの高低ではなく、営業所の数に比例して必要条件が増えると考えるのが正確です。
大臣許可を取れば全国で工事ができますか?
許可の有無と工事の施工区域は別の話です。大臣許可と知事許可の別は営業所の所在地で決まり、営業し得る区域や施工し得る区域に制限はありません。知事許可の業者でも、営業所を置いていない都道府県の工事を請け負うことはできます。大臣許可は「2県以上に営業所を置く場合の許可」であって、全国営業の免許ではありません。
千葉県の会社が東京都に営業所を出すとどうなりますか?
千葉県と東京都の2県に営業所を持つことになるため、国土交通大臣許可が必要です。千葉県知事許可からの許可換え新規の申請になります。申請先は関東地方整備局で、登録免許税は15万円(一般と特定の両方なら30万円)、標準処理期間は概ね90日です。東京都の営業所にも営業所技術者を専任で置く必要があります。
知事許可を複数の県で取ることはできますか?
できません。2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合は、知事許可を県ごとに取るのではなく、国土交通大臣許可を1つ取ることになります。法第9条第1項第3号が、知事許可の業者が2県以上に営業所を有することとなった場合を許可換えの場面として定めています。県ごとに知事許可を並べる運用は、現行法の想定ではありません。
許可換えの申請中に営業できますか?
できます。法第9条第2項が法第3条第4項を準用しているため、許可換えの申請があってから処分がされるまでの間は、従前の許可がなお効力を有します。ただし、新しい営業所での営業開始を申請より後にしないと、無許可営業とみなされる期間が生じます。拠点の開設日から逆算して、余裕を持って申請してください。
まとめ
大臣許可と知事許可の違いは、営業所の数と所在地だけです。2つ以上の都道府県に営業所を設けるなら国土交通大臣許可、1つの都道府県だけならその県の知事許可になります。売上や工事の規模、許可の格で決まるものではありません。許可基準はどちらも同じで、大臣許可では営業所ごとに営業所技術者を専任で置く必要があるため、営業所の数だけ人が必要になります。
手続きの面では、申請先、提出部数、法定費用、標準処理期間、変更届の提出先、経審の申請先が変わります。大臣許可は関東地方整備局へ直接提出し、新規の登録免許税は15万円、標準処理期間は概ね90日です。知事許可は本店所在地を管轄する土木事務所へ3部提出し、新規の手数料は9万円、標準処理期間は45日です。営業所の配置が変わって区分が変わる場合は、変更届ではなく許可換えの申請が必要になります。
拠点を増やす計画があるなら、契約締結をその拠点で行うのか、営業所技術者を確保できるのか、許可換えの申請時期に間に合うのか、の3点を先に確認してください。千葉県での建設業許可の新規取得・更新・業種追加は建設業許可の新規取得・更新でご案内しています。大臣許可と知事許可のどちらに当たるか迷う場合は、営業所の一覧を持ってご相談ください。
出典:建設業法(昭和24年法律第100号)第3条・第5条・第6条・第7条・第8条・第9条・第11条・第13条・第50条、建設業法施行令第1条・第1条の2、建設業法施行規則第5条・第7条/千葉県「建設業許可の手引き(令和8年4月版)」「建設業許可について」「建設業許可申請書等の閲覧について」/国土交通省関東地方整備局「建設業許可申請・変更の手引き」「建設業の許可について」「経営事項審査について」/e-Gov法令検索。

