建設業許可が下りたら、最初にやることは3つです。標識の掲示、変更届の準備、決算変更届の期限の把握。この3つが、許可を維持する実務の中心になります。許可は受けた日から5年で切れ、その間に毎年の決算変更届と、変更があったときの届出が続きます。何をいつまでに出すのかを先に並べておけば、更新の直前に慌てることはありません。

許可が下りたら最初にやること

許可通知書が届いた日から、期限の時計が動き出します。最初の1年で必ず出てくるのが、決算変更届(事業年度終了後4か月以内)と、変更があった場合の変更届(30日以内または2週間以内)です。加えて、営業所と元請工事の現場に標識を掲げる義務が、許可を受けた時点から発生します(建設業法第40条)。

見落としやすいのは、許可後に届く書類は許可通知書だけという点です。変更届を出しても、新しい許可証のようなものは送られてきません。千葉県の手引きにも「変更届については、受付後に新たに通知書等を発送することはありません」と書かれています。取引先や入札で証明が必要になったときは、建設業許可証明書を別に取得します。

義務期限
標識常時掲げる
変更届30日以内/2週間以内
決算届毎年、終了後4か月以内
更新満了日の30日前まで
帳簿引渡しから5年
経審公共工事を請ける前
入札発注者の受付期間内
表1 許可後に発生する義務と期限

この表のうち、期限が「毎年」と「5年に1回」のものは、あらかじめカレンダーに落とせます。厄介なのは「変更があったとき」の手続きです。代表者の交代や専任技術者の退職は、総務や現場から情報が上がらないまま月日が経つ事例が最も多いところです。誰が何を見て気づくのかを、取得した時期に決めておいてください。

標識の掲示

標識は、営業所(店舗)と、発注者から直接請け負った工事の現場に、それぞれ掲げます(建設業法第40条)。下請だけで施工する現場には不要ですが、元請として受けた現場には必要です。工事が終わるまで掲げたままにします。

様式は建設業法施行規則第25条で決まっていて、店舗は別記様式第28号、工事現場は別記様式第29号です。店舗用の記載事項は4つ、現場用は5つです。

  • 一般建設業か特定建設業かの別 どちらの許可で営業しているかを示します
  • 許可年月日・許可番号・許可を受けた建設業 業種名まで記載します
  • 商号または名称 登記上の表記に合わせます
  • 代表者の氏名 役職名ではなく氏名を記載します
  • 主任技術者または監理技術者の氏名 現場用の標識だけに必要な5つ目の項目です

千葉県の手引きでは、店舗用は縦40cm×横35cm以上、現場用は縦25cm×横35cm以上とされています。材質は問わず、県が指定する標識作成業者もありません。ホームセンターの板に印刷して掲げても要件を満たします。ただし、公衆の見やすい場所に掲げることは外せません。事務所の奥の倉庫に保管しておくのは、掲示したことになりません。

見落としやすいのが、変更後の差し替えです。商号変更や代表者の交代、許可の更新で、標識の記載内容は変わります。更新すると許可年月日と許可番号が新しくなるため、古い標識を掲げたままにすると記載が事実と合わなくなります。標識を掲げていない状態は十万円以下の過料の対象です(同法第55条第3号)。変更届を出すタイミングで標識も作り直す、と手順を決めておくと漏れません。

変更届(30日・14日)

許可申請書に書いた内容が変わったときは、変更届を出します(建設業法第11条第1項)。期限は変更の内容によって2つに分かれます。ここが実務で最も間違えられる部分です。

変更の内容期限
商号変更後30日以内
所在地変更後30日以内
資本金変更後30日以内
役員変更後30日以内
技術者追加は30日以内、退職や交代は2週間以内
使用人数事業年度終了届に添付して4か月以内
表2 変更の内容ごとの届出期限

法律の建て付けはこうです。30日以内の根拠は第11条第1項で、商号、営業所の名称と所在地、資本金と役員等の氏名、個人事業主の氏名、営業所技術者の氏名という5項目の変更を対象にしています。2週間以内の根拠は同条第4項と第5項で、営業所技術者がその営業所に置かれなくなった場合の後任の書類提出と、経営業務管理責任者や専任技術者の基準を満たさなくなった場合の届出が該当します。

つまり、人が抜けたら2週間、それ以外は30日と覚えるのが実務的です。退職の申し出を受けてから後任を探し、書類をそろえて2週間で出すのは簡単ではありません。辞める話が出た時点で、窓口や専門家に相談を始める必要があります。

「変更がなければ何もしなくていい」わけでもありません。使用人数が増減した場合と、それに伴って健康保険等の加入状況が変わった場合は、変更届ではなく毎年の事業年度終了届に添付して提出します。ただし、加入状況そのものの変更(従業員数の変更を除く)は30日以内の変更届です。どちらに当たるか迷うときは、千葉県の手引きP67〜68の変更事項一覧で番号を確認してください。

提出先は、本店の所在地を管轄する土木事務所です。紙で出す場合は正本・副本・控えの3部で、郵送も受け付けています。電子申請(JCIP)にも対応しており、GビズIDの準備を含めた手順は建設業許可の電子申請で扱っています。変更事項ごとの様式と添付書類は建設業許可の変更届で整理しています。

期限に遅れた場合は、理由を書いた始末書の添付を求められます。加えて、変更届の内容は許可申請書とあわせて閲覧所で公衆の閲覧に供されます(同法第13条)。財務諸表や工事経歴書が外部の目に触れる前提で、記載を整えておいてください。

決算変更届

毎年必ず出るのが決算変更届(事業年度終了届)です。根拠は建設業法第11条第2項で、毎事業年度の終了後4か月以内に、工事経歴書と直前3年の工事施工金額、その他国土交通省令で定める書類を提出します。3月決算なら7月末、5月決算なら9月末が期限です。

初年度はタイミングが読みにくくなります。新規申請のときに前々事業年度の財務諸表を出した場合は、許可取得後に前事業年度の事業年度終了届を出す必要があります。審査中に決算日が来た場合も同じです。つまり、許可が下りた直後に、いきなり決算変更届の期限が迫っていることがあります。申請の段階で、どの事業年度分が残るかを確認しておいてください。

必要書類は法人か個人か、株式会社かどうかで変わります。法人なら工事経歴書、工事施工金額、建設業法施行規則が定める様式の財務諸表(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・注記表)、事業報告書、納税証明書、定款などです。税務署や株主総会に提出した決算報告書をそのまま出しても、建設業法の様式ではないため受理されません。

提出しないとどうなるか。決算変更届の遅れ自体に罰金はありませんが、法第28条の指示処分の対象になり得ます。実務上はもっと重く、提出がないと許可の更新や業種追加の審査で不利になり、経営事項審査も受けられません。5年分の実績がそろっていない状態で更新を迎えると、更新申請そのものが難しくなります。書類の作り方は千葉県の事業年度終了届で詳しく扱っています。

許可更新のスケジュール

許可の有効期間は5年です(建設業法第3条第3項)。更新の申請期限は有効期間が満了する日の30日前までです(建設業法施行規則第5条)。「3か月前から」と言われることがありますが、これは準備を始める目安であって、法律上の期限は30日前です。千葉県の案内も「期間が満了する日の30日前までに」と明記しています。

時期やること
半年前決算変更届の未提出を確認
3か月前財務諸表と技術者の在籍を確認
2か月前申請書の作成と手数料の準備
30日前申請書の提出期限
満了日処分までは従前の許可で営業可
表3 5年更新までのスケジュール

満了日までに処分がされなくても、更新申請が出ていれば、従前の許可は処分がされるまで効力を持ちます(同条第4項)。更新が認められたときの新しい有効期間は、従前の満了日の翌日から起算します(同条第5項)。空白の期間はできません。

手数料は、知事許可の新規が9万円、更新と同一許可区分内の追加が5万円です(国土交通省「許可申請の手続き」)。納付方法は時期によって変わるため、申請前に千葉県の手引きで確認してください。

5年の間に業種を追加すると、有効期間の扱いが変わります。追加した業種は追加時の許可から5年になるため、業種ごとに満了日がずれます。更新の時期を業種ごとに管理するか、有効期間をそろえる申請を選ぶかで、事務負担が変わります。合併や事業譲渡で許可を承継する場合は、更新ではなく認可の手続きになります(建設業許可の承継)。

専任技術者と経営業務管理責任者

許可を取り消されないための中心が、人の要件です。許可の基準は建設業法第7条にあり、第1号が経営業務の管理責任者、第2号が営業所ごとの専任技術者です。取得後も、この2つを満たし続ける義務があります。

専任技術者は、その営業所に専任で置きます。他の営業所や他社と兼ねることはできません。資格は業種ごとに、学校卒業後の実務経験、10年以上の実務経験、国土交通大臣の認定のいずれかです(同条第2号イ〜ハ)。特定建設業では監理技術者を置く必要があり、発注者から直接請け負った工事で下請代金の額が5,000万円以上(建築工事業は8,000万円)となる下請契約を結ぶ場合は、特定建設業の許可が必要になります。一般と特定の区分は一般建設業と特定建設業の違いで整理しています。

経営業務の管理責任者は、常勤の役員等のうち1人が、建設業の経営業務を5年以上管理した経験などを持つことが必要です(同条第1号、施行規則第7条第1号)。名義だけの就任は認められません。常勤性は、住民票や健康保険の加入資料などで確認されます。

ここで押さえておきたい変更があります。令和8年4月1日以降に受け付ける申請から、常勤性を確認する資料として健康保険被保険者証を使えなくなりました。マイナ保険証への移行に伴う措置で、千葉県は手引き52ページに載る他の確認書類を使うよう案内しています。役員や技術者の交代を予定しているなら、どの書類で常勤性を示すかを先に確認してください。

退職や交代で人が抜けたときは、2週間以内の届出と後任の証明書の提出が必要です。後任が決まるまで時間がかかると、許可の基準を満たさない状態が続きます。欠格事由に該当した場合も2週間以内の届出です(同法第11条第5項)。

経審と入札参加資格

許可を取った直後に、経営事項審査(経審)まで受ける必要はありません。経審が必要になるのは、公共性のある施設や工作物の工事で政令が定めるものを、発注者から直接請け負おうとする場合です(建設業法第27条の23第1項)。民間工事だけを請け負う間は必須ではありません。

経審は決算の数値を使って受ける審査です。決算変更届を出していないと受審できないため、公共工事を狙うなら、まず毎年の決算変更届を滞りなく出すことが前提になります。評点の仕組みは経営事項審査の評点計算、千葉県での申請の流れは千葉県の経営事項審査で扱っています。

経審の結果をもとに、発注者ごとの入札参加資格申請を行います。千葉県は年度途中でも随時申請を受け付けているため、許可を取った年度からでも登録を目指せます。ただし格付は経審の点数だけで決まるわけではなく、工事実績や地域要件も関わります(千葉県の入札参加資格)。

公共工事には価格の下限もあります。千葉県発注の工事では最低制限価格制度が運用され、予定価格の75%から92%の範囲で最低制限価格が設定されます(千葉県「建設工事等に係る最低制限価格制度実施要領」第3条、令和7年1月1日以降の公告分から適用)。この水準を下回る入札は落札者になれないため、参入前に自社の原価を把握しておく必要があります。

入札や経審の準備では、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録が関わる場面もあります。技能者の就業履歴を蓄積する仕組みで、公共工事の実績づくりとあわせて整えておくと動きやすくなります(建設キャリアアップシステム)。

帳簿と保存書類

許可業者には帳簿の備付けと保存の義務があります(建設業法第40条の3)。営業所ごとに、請負契約と下請契約の内容、完成検査と引渡しの年月日、下請代金の支払額と支払日などを記載します(施行規則第26条)。記載は工事ごとに、事実が生じたとき遅滞なく行います(同第27条)。

書類保存期間
帳簿(一般)引渡しから5年
帳簿(住宅新築)引渡しから10年
図書(完成図等)引渡しから10年
表4 帳簿と図書の保存期間

保存の起算点は、工事の目的物を引き渡したときです。請負契約に基づく債権債務が消滅したときは、その日から数えます。帳簿には、注文者との請負契約書、下請代金の支払を証する書面、施工体制台帳の該当部分を添付します。電子データでの保存も認められています(同条第6項から第8項)。

帳簿の不備は十万円以下の過料の対象です(同法第55条第5号)。金額は大きくありませんが、立ち入り検査で指摘されると指示処分や営業停止処分につながります。支払期日も決まっています。特定建設業者が注文者となる下請契約では、出来形部分の検査に基づく申出の日から起算して50日を経過する日以前に支払期日を定めなければなりません(同法第24条の6第1項)。下請法でも、代金の支払期日は給付を受領した日から60日以内とされています。

よくある失敗

許可を取った年の年末に相談が増えるのが、次の7つです。どれも手続きの難しさではなく、気づくのが遅れることで起きます。

  • 標識が旧社名のまま 商号変更や代表者交代のあと、変更届だけ出して標識を差し替えていない。現場標識は主任技術者の氏名も変わります
  • 変更届を決算時にまとめる 30日・2週間の期限を過ぎてしまい、始末書を添えて出すことになる
  • 専任技術者の兼任 支店を増やしたとき、同じ人を両方の営業所の専任技術者にしている
  • 更新の期限を満了日だと思っている 申請期限は満了日の30日前。満了日当日では間に合いません
  • 決算変更届を税理士任せにしている 税務申告とは別の手続きで、建設業法の様式の財務諸表が必要です
  • 帳簿を作っていない 請負契約書を保存しているだけで、帳簿として整理していない
  • 許可証明の取り方を知らない 変更届を出しても通知書は届きません。証明書は別に申請します

これらは、許可を取った直後に「誰が」「何を」「いつまでに」を1枚にまとめておけば、ほとんど防げます。申請書類の作り方そのものは建設業許可の書類の書き方で扱っています。

よくある質問

許可を取ったその日に標識を掲げる必要がありますか

掲示義務は許可を受けた時点で発生します。現実には標識の作成に数日かかるため、許可通知書が届いたらすぐ発注し、届いた時点で営業所と元請現場に掲げてください。掲げていない状態は十万円以下の過料の対象です(法第55条第3号)。

許可証はどこに保管すればいいですか

建設業では、飲食店の営業許可証のように交付されて店内へ掲示する書類はなく、掲示するのは標識です。許可後に届くのは許可通知書で、こちらは保管しておくものになります。取引先へ許可の事実を示す必要があるときは、建設業許可証明書を取得して渡します。

変更届を出すと新しい許可証が届きますか

届きません。千葉県では変更届の受付後に通知書等を発送していないため、手元の通知書と実際の許可内容が一致しない期間が生じます。許可内容の証明が必要な場面では、建設業許可証明書を使ってください。

赤字でも決算変更届は出さなければいけませんか

出します。事業年度終了届は業績にかかわらず毎年必要です。財務諸表は建設業法施行規則の様式で作成し、税務申告用の決算書をそのまま添付しないようにしてください。赤字であること自体が不利益になるわけではありません。

役員を交代したときの届出は何日以内ですか

役員の就任・退任は変更後30日以内です。ただし、経営業務の管理責任者を交代する場合は2週間以内の扱いになります。両方に当たる交代では、短いほうの期限に合わせてください。

まとめ

許可取得後にやることは、標識の掲示、変更届、決算変更届の3つに集約できます。期限は、標識が常時、変更届が30日以内または2週間以内、決算変更届が事業年度終了後4か月以内、更新が満了日の30日前までです。この4つをカレンダーに落とし、担当者を決めておけば、更新の直前に慌てることはありません。

行政書士法人LDパートナーズでは、建設業許可の新規取得のほか、決算変更届、各種変更届、更新申請、業種追加、経営事項審査、入札参加資格申請までを扱っています。「更新の時期が近い」「この変更は届出が必要か」といったご相談は、お気軽にお寄せください。

出典

建設業法(昭和24年法律第100号)第3条・第7条・第11条・第13条・第24条の6・第27条の23・第40条・第40条の3・第55条/建設業法施行規則(昭和24年建設省令第14号)第5条・第7条・第25条〜第28条/千葉県「建設業許可について」(令和7年6月25日更新)・「建設業許可の手引き(令和8年4月版)」/千葉県「建設工事等に係る最低制限価格制度実施要領」(令和6年12月11日最終改正)/国土交通省「許可申請の手続き」