パン屋に必要な許可は、店の形で変わります。店内で食べさせるなら飲食店営業許可、持ち帰り用に焼いて売るなら菓子製造業許可が基本です。どちらも保健所の許可で、順序は「物件を決める前に保健所へ相談」が先になります。パンは食品衛生法上の独立した業種ではなく、菓子製造業の定義にパン製造業が含まれています。以下、形態ごとの使い分け、千葉県の施設基準と手数料、必要書類、開業までの流れの順に整理します。
パン屋の許可は「どこで食べるか」「どこへ売るか」で決まる
食品衛生法は、業種ごとに営業許可を求める建て付けです。法第55条第1項が「政令で定める業種ごとに」許可を受けなければならないと定め、その業種は食品衛生法施行令第35条に32業種が列挙されています。令和3年6月1日の改正で34業種から32業種に再編され、喫茶店営業は飲食店営業に、あん類製造業は菓子製造業に統合されました。
この32業種に「パン製造業」という区分はありません。厚生労働省の「営業許可業種の解説」は、菓子製造業(第11号)の定義を「パン製造業及びあん類製造業を含み、複合型そうざい製造業及び複合型冷凍食品製造業の営業を除く」と説明しています。パンを焼いて売る営業は、法律上は菓子製造業の許可で行うのが原則です。
一方、飲食店営業(第1号)の定義は「食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業」です。パンを焼くことそのものではなく、客がその場で食べる形を提供するかどうかで分かれます。ここが最初の分岐点になります。
| 店の形 | 必要な許可と根拠 |
|---|---|
| イートインあり | 飲食店営業許可。店内で焼いたパンの持ち帰り販売も、この許可の営業に付随する行為として扱われます |
| 持ち帰り専門 | 菓子製造業許可。パン製造業は菓子製造業に含まれるため、パン専用の許可はありません |
| 卸売・通販 | 菓子製造業許可。飲食店営業の許可は客に飲食させる営業への許可で、他の店に卸す製造業の受け皿にはなりません |
| 仕入れて販売 | 許可は不要。食品衛生法第57条の営業届出(パン小売業)で足ります |
| 冷凍生地を焼くだけ | イートインを置くなら飲食店営業許可。調理が簡易な営業として施設基準が一部緩和されます |
許可は「1施設に1つ」とは限りません。1つの施設で複数の業種を営む場合は、業種ごとに許可が必要になります。たとえばイートインを併設したパン屋で、焼いたパンを箱詰めして継続的に他の店へ卸すなら、飲食店営業と菓子製造業の2つが対象になり得ます。千葉市も申請手数料の案内で「1つの施設で複数の食品を取り扱う場合、その食品ごとに複数の営業許可を取らなければならない場合があります」と注意を促しています。
許可を取らずに営業した場合の罰則も確認しておきます。食品衛生法第82条は、第55条第1項の許可を受けずに営業した者を2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処すると定めています。食中毒などの実害が出ていなくても、無許可で売った時点で成立します。
店内で飲食させるなら「飲食店営業許可」
イートインを設けて、焼きたてのパンとコーヒーを店内で提供するなら飲食店営業許可が必要です。店内飲食に加えて、焼いたパンのテイクアウトやデリバリーも、この許可の営業として扱われます。飲食店営業許可の取得手順そのものは飲食店営業許可の取得方法と行政書士のサポートで詳しく整理しているので、ここではパン屋に固有の論点に絞ります。
見落とされやすいのは、菓子製造業の許可だけでイートインに近いことができる場合です。厚生労働省の業種解説は、菓子製造業の許可を受けた施設で「客が購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供する場合、飲食店営業の許可を要しない」としています。パンを買った人が店内の席で食べられる小さなイートインコーナーと、飲み物の提供までなら、菓子製造業の許可の範囲で収まる余地があります。一方で、パスタやサラダなどの料理を調理して出すなら飲食店営業の領域です。線引きは保健所の判断になるため、席数と提供メニューを具体的に示して事前相談で確認してください。
調理の負担が軽い業態には、施設基準の緩和もあります。厚生労働省は飲食店営業のうち「既製品を開封、加温、盛り付け等して提供する営業」「半製品を簡易な最終調理(揚げる、焼く等)を行い提供する営業」「米飯を炊飯、冷凍パン生地を焼成する営業」などを簡易な営業として例示しています。千葉県食品衛生法施行条例も、簡易な営業については床面・内壁の不浸透性材料を不要とし、排水設備の床面設置を求めず、冷蔵設備を施設外に置くことを認めています。前店舗から設備をそのまま使う居抜き物件では、この緩和が効くかどうかで改修費が変わります。
もう1つ、飲食店営業の許可で押さえるべき線があります。厚生労働省の業種解説は、麺を製造して調理提供する施設について「飲食店営業の許可を要し、麺類製造業の許可を重ねて取得する必要はない」としつつ、「同様の施設において、継続的に、製造した麺を包装し販売する場合、麺類製造業の許可を要する」としています。パンも同じ考え方で、店内で出す分には飲食店営業で足りますが、包装して継続的に販売したり卸したりする形に広げるなら、製造業である菓子製造業の許可が必要になります。
持ち帰り・卸売なら「菓子製造業許可」
店頭販売が中心で、イートインを置かないなら菓子製造業許可が基本になります。パン製造業が菓子製造業に含まれるため、食パン、菓子パン、ハード系、ベーグルまで、同じ許可で製造できます。令和3年の改正では、菓子製造業の許可を受けた施設で調理パンを製造する場合、そうざい製造業や飲食店営業の許可を要しないことも明確にされました。サンドイッチや総菜パンを同じ厨房で作っても、それだけで別の許可が必要になるわけではありません。
菓子製造業の許可は、作ったものを店の外へ出す形をカバーします。卸売、通信販売、スーパーや飲食店への納品がこれに当たります。持ち帰り販売だけなら飲食店営業の許可でも営業自体はできますが、包装して継続的に販売したり卸したりする形に広げるなら菓子製造業が必要です。将来卸す予定があるなら、最初から菓子製造業で設計したほうが、後から許可を追加するより設備のやり直しが少なくて済みます。
ただし、パン以外の総菜や弁当も卸すとなれば話が変わります。煮物、焼物、揚物といった通常の副食物を製造する営業はそうざい製造業の領域で、パンの許可とは別の業種です。総菜パンと総菜弁当を同じラインで作って卸すかどうかは、そうざい製造業の許可取得の流れと必要な手続きのポイントも参照しながら、製造品目を列挙して保健所に確認するのが確実です。
費用面では、菓子製造業の申請手数料は千葉県・千葉市とも新規14,000円、継続9,800円です。飲食店営業は新規16,000円、継続11,200円で、菓子製造業のほうが2,000円安くなります。
| 業種 | 新規申請/継続申請(千葉県・千葉市) |
|---|---|
| 菓子製造業 | 14,000円/9,800円。パンの製造販売はこちら |
| 飲食店営業 | 16,000円/11,200円。イートインを設ける場合 |
| そうざい製造業 | 21,000円/14,700円。総菜・弁当も卸す場合 |
| 複合型そうざい製造業 | 25,000円/17,500円。HACCPに基づく衛生管理が条件 |
許可が不要・届出で済むケース
自分で焼かず、仕入れたパンを売るだけなら営業許可は不要です。ただし食品衛生法第57条の営業届出が必要で、業種は「その他の食料・飲料販売業」に含まれる「パン小売業」に分類されます。厚生労働省の「営業届出業種の設定について」では、パン小売業は「主として食パン、コッペパン、菓子パン等のパン類を小売する営業」と定義されています。卸売が主体なら「菓子・パン類卸売業」に変わります。
届出は書類の提出で完結し、許可申請のような施設検査は行いません。有効期間もなく、更新の手続きも不要です。ただし、仕入れたパンを袋に詰め直す、カットして販売するといった行為は「食品の小分け」に触れる可能性があるため、どこまでをそのまま販売とするかは保健所に確認してください。パンを自動販売機で売る場合も、調理機能のない自販機であれば営業届出の対象です。
自宅のキッチンで焼いて売る形は、原則としてそのままでは通りません。千葉県食品衛生法施行条例の共通基準は、住居その他食品等を取り扱うことを目的としない室や場所が同一の建物にある場合、それらと区画されていることを求めています。生活動線と製造動線を間仕切りで分け、専用の製造室と専用の手洗いを確保する必要があり、家族共用の台所のままでは基準を満たしません。自宅兼用を考えるなら、物件の購入やリフォームの前に、図面を持って保健所へ相談する順序になります。
イベントやマルシェで単発的に販売する場合も、無条件で自由に売れるわけではありません。営業許可を受けた施設で製造したパンを店外で販売するときは、その場所が臨時施設としての許可や届出の対象になるかを保健所に確認します。回数や場所によって扱いが変わるため、出店が決まった時点で管轄の保健所へ日程と場所を伝えるのが安全です。
施設基準は「面積」より「区画」と「動線」
施設基準は、食品衛生法第54条に基づき都道府県の条例で定められます。千葉県では食品衛生法施行条例の施設基準を満たす必要があり、千葉市も「千葉県条例(食品衛生法施行条例)で定められた施設基準を満たさなければならない」と案内しています。基準は全業種に共通する部分と、業種ごとの部分の両方を満たす必要があります。
ここで一点、ネット上の解説と食い違うことが多い論点を整理します。「調理場は〇平方メートル以上」という数値基準を目にする機会がありますが、千葉県の条例には床面積や調理場面積の数値基準は置かれていません。共通基準の書きぶりは「食品又は添加物を取り扱う量に応じた十分な広さを有すること」です。何平方メートルあればよいかは、扱う量と動線から個別に判断されます。数字を満たせば通る、という設計の仕方ではありません。
| 項目 | 千葉県条例の求め方 |
|---|---|
| 広さ | 取り扱う量に応じた十分な広さ。数値基準は条例にありません |
| 区画 | 作業区分に応じた間仕切り等の区画。住居など食品を扱わない室とは区画が必要 |
| 床・内壁 | 清掃・洗浄・消毒が容易な材料。水洗いする区域は不浸透性の材料と腰張り |
| 手洗い | 洗浄と消毒の装置を備えた流水式手洗いを「必要な個数」。水栓は再汚染を防ぐ構造 |
| 便所 | 従事者の数に応じて設置。作業場に汚染の影響を及ぼさない構造で、専用の流水式手洗い付き |
| 冷蔵・冷凍 | 必要に応じて設置。温度計を備えること |
| 換気・照明 | 結露しにくく、作業と清掃に足りる照度を確保できる構造 |
| 廃棄物 | 不浸透性でふた付きの容器。清掃用具は専用のものと収納場所 |
菓子製造業には業種別の基準が重なります。原材料の保管と前処理、製品の製造、包装、保管を行う室または場所を設けること。場所で済ませる場合は作業区分に応じて区画すること。前処理と製造の場所には、解凍、調整、調合、整形、発酵、加熱、殺菌、放冷、冷却に必要な設備を置くこと。原材料と製品の保管場所には、必要に応じて冷蔵・冷凍設備を備えること。パン屋の厨房は、発酵と焼成の工程がこの並びに当てはまるかどうかで見られます。
千葉市は施設検査のポイントとして11項目を公表しています。作業場に固定された間仕切りと区画戸を設けること、窓や出入口に網戸などを設けること、手洗いの水栓をレバー・足踏みペダル・センサーなど手指で触れずに開閉できる構造にすること、冷蔵庫に温度計を備えること、ふた付きの廃棄物容器と清掃用具の収納を用意すること、更衣室やロッカーを確保すること。設計の段階で図面に落としておかないと、完成後のやり直しになります。
食品衛生責任者とHACCPに沿った衛生管理
許可を取るには、施設ごとに食品衛生責任者を定める必要があります。根拠は食品衛生法施行規則別表第17第1号で、営業許可・営業届出の対象となる営業を行う者は食品衛生責任者を定めることとされています。氏名は申請書に記載し、許可後は施設の見やすい場所に掲示します。責任者が変わる場合は変更の届出が必要です。
資格は、調理師、製菓衛生師、栄養士、食品衛生管理者などの有資格者であるか、食品衛生責任者養成講習会を修了するかのいずれかです。製菓衛生師の資格を持っている人は、そのまま要件を満たします。千葉県では養成講習会を公益社団法人千葉県食品衛生協会に委託しており、集合型のほかにeラーニング方式の講習も用意されています。開業予定日から逆算して、早めに受講を済ませてください。
衛生管理は、許可を取って終わりではありません。食品衛生法第51条は、事業者がHACCPに沿って食品衛生管理を行うことを求めています。厚生労働省はこれを2段階に整理し、大規模な事業者にはHACCPに基づく衛生管理(7原則)を、小規模な営業者等には「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を求めています。小規模の範囲には、飲食店営業やそうざい製造業のほか、パン製造業(消費期限が概ね5日程度のもの)が明記されています。食品等の取扱いに従事する者が50人未満の事業場も対象です。
実務では、業界団体が作成し厚生労働省が内容を確認した手引書に沿って、衛生管理計画と手順書を作り、日々の記録を取って保存します。焼成温度、発酵時間、冷蔵庫の温度、従事者の健康状態といった記録が中心になります。HACCPの実施そのものに直接の罰則はありませんが、記録がない状態は、食中毒や異物混入が起きたときの説明力を大きく削ぎます。
食品衛生法以外に必要な届出と契約
店舗を開くときは、保健所の許可の外側にも手続きがあります。見落とすと開店日に間に合わないものから順に挙げます。
- 防火対象物使用開始届
店舗として建物を使い始める前に、消防署へ提出します。千葉市では千葉市火災予防条例第43条に基づく届出で、使用開始の7日前までが期限です。消防法本体の届出ではない点に注意してください。あわせて、用途と規模に応じた消火器などの消防用設備等の設置が必要になります。 - 事業系ごみの処理契約
店から出るごみは事業系一般廃棄物で、家庭ごみの集積所には出せません。千葉市の許可を受けた収集運搬業者と契約するか、自ら処理施設へ持ち込みます。排出した事業者が処理責任を負う建て付けです。 - 食品リサイクル法
前年度の食品廃棄物等の発生量が100トン以上になると、食品廃棄物等多量発生事業者として、毎年度6月末までの定期報告が義務になります。小規模なパン屋の多くは100トン未満で定期報告の対象外ですが、発生抑制と再生利用の努力義務は規模にかかわらずかかります。 - 食品表示
袋や箱に入れて販売する場合は、食品表示基準第3条第1項の義務表示事項(名称、保存の方法、消費期限又は賞味期限、原材料名、添加物、内容量、栄養成分、製造者など)が必要です。製造した場所で販売する場合は同基準第5条により原材料名や内容量などの一部を省略できます。対面で客の注文に応じて袋に入れるだけなら表示義務はかかりませんが、アレルゲンは口頭やPOPで伝える運用が望まれます。 - 酒類
店内で飲用に供する形での提供は、国税庁の整理により酒類販売業免許は不要です。ただし未開栓のボトルを持ち帰り用に小売りするなら免許が必要で、これは飲食店営業の許可とは別の制度です。詳しくは酒類販売業許可申請の手続きとポイントを参照してください。深夜0時から午前6時に酒類を提供する場合は、風営法第33条の深夜酒類提供飲食店営業開始届が別に必要になります。 - 従業員を雇う場合
労働条件の明示、労災保険と雇用保険の加入、定期健康診断といった基本的な義務が発生します。ミキサーやオーブンなどの設備を使う工程では、従業員数に応じた安全衛生の体制も求められます。
加えて、その場所で飲食店や製造業を営めるかという土地の条件があります。用途地域によって建てられる建物と使える用途が変わるため、物件の契約前に自治体の建築担当窓口で確認します。保健所の許可と建築の制限は別の審査で、片方が通ってももう片方が通るとは限りません。
保健所の管轄と開業までのスケジュール
申請先は、店舗の所在地を管轄する保健所です。千葉県内には16の保健所があり、千葉市、船橋市、柏市は政令市・中核市として独自の保健所を設置しています。それ以外の市町村は県の保健所(健康福祉センター)が窓口です。同じ千葉県内でも、窓口の組織と運用が変わります。
| 保健所 | 管轄する市町村 |
|---|---|
| 千葉市 | 千葉市(中央区・花見川区・稲毛区・若葉区・緑区・美浜区) |
| 船橋市 | 船橋市 |
| 柏市 | 柏市 |
| 市川 | 市川市・浦安市 |
| 松戸 | 松戸市・流山市・我孫子市 |
| 野田 | 野田市 |
| 印旛 | 佐倉市・四街道市・八街市・印西市・白井市・酒々井町・栄町(成田支所は成田市・富里市) |
| 香取 | 香取市・神崎町・多古町・東庄町 |
| 海匝 | 銚子市・旭市・匝瑳市 |
| 山武 | 東金市・山武市・大網白里市・九十九里町・芝山町・横芝光町 |
| 長生 | 茂原市・一宮町・睦沢町・長生村・白子町・長柄町・長南町 |
| 夷隅 | 勝浦市・いすみ市・大多喜町・御宿町 |
| 安房 | 館山市・鴨川市・南房総市・鋸南町 |
| 君津 | 木更津市・君津市・富津市・袖ケ浦市 |
| 市原 | 市原市 |
| 習志野 | 習志野市・八千代市・鎌ケ谷市 |
事前相談は、物件の契約や内装工事の着工より前に受けるのが原則です。千葉県は「必ず建築・改修工事の着工前に相談してください」と明記し、図面(設備器具の位置を記載したもの、手書き可)と施設の現状がわかる写真の持参を求めています。千葉市も、施設基準が不明な場合は平面図等を持参のうえ工事着工前に相談するよう案内しています。契約後に「この物件では基準を満たせない」と分かると、居抜きでも作り直しになります。
| 段階 | やることと期限 |
|---|---|
| 1. 構想 | 業態(イートインの有無、卸売の有無)を決め、必要業種の当たりを付ける |
| 2. 事前相談 | 図面と写真を持って管轄保健所へ。物件契約・工事着工の前 |
| 3. 責任者 | 食品衛生責任者の資格を確認し、なければ養成講習会を受講。申請書に取得年月日を書くため申請までに |
| 4. 工事 | 区画、手洗い、排水、換気、冷蔵設備を図面どおりに施工 |
| 5. 申請 | 書類と手数料を管轄保健所へ。千葉市は施設検査希望日の2週間前までに申請 |
| 6. 施設検査 | 営業者が立ち会う。千葉市の検査日は月・水・木 |
| 7. 許可証交付 | 千葉市は合格後、翌々開庁日の9時以降に窓口で交付 |
| 8. 営業開始 | 許可証と食品衛生責任者の氏名を施設の見やすい場所に掲示 |
申請から許可までの期間は、千葉市が「通常2週間前後」と案内しています。ただし繁忙期は申請の受理から施設検査まで2週間程度かかる場合があるため、開店日から逆算して余裕を取ってください。申請は窓口のほか、厚生労働省の食品衛生申請等システムによるオンライン申請も可能です。電子申請の使い分けは飲食業許可の電子申請方法とメリットで整理しています。千葉県は手数料を収入証紙またはオンライン決済で納付し、千葉市は現金持参です。千葉市は郵送による申請を受け付けていません。
| 書類 | 注意点 |
|---|---|
| 営業許可申請書 | 千葉市は様式第7号。法人は法人番号、食品衛生責任者の取得自治体名と取得年月日を記載 |
| 施設の図面 | 構造と設備を示す平面図。設計図の複写でもよく、手書きも可。設備の位置を追記する |
| 申請手数料 | 千葉県は収入証紙かオンライン決済、千葉市は現金。納付後の還付は不可 |
| 水質検査成績書 | 井戸水など水道水以外を使う場合。直近1年以内の検査結果 |
| 食品衛生責任者の資格 | 申請書に記載。講習会の修了証を確認できるようにしておく |
許可後の更新も忘れずに。許可の有効期間は食品衛生法第55条第3項により5年を下回らない範囲で条例に定められ、千葉県では許可期限が満了する当月中に継続申請を出す決まりです。更新の前には現地の施設調査が入ります。期限を過ぎると無許可営業になり、罰則の対象になります。
よくある質問
Q. パン屋は菓子製造業許可だけで開業できますか
持ち帰り販売が中心なら、菓子製造業許可だけで開業できます。パン製造業は菓子製造業に含まれるためです。店内に席を設けて飲食させる場合は飲食店営業許可が必要になりますが、購入したパンに飲料を添えて提供する程度であれば、菓子製造業の許可の範囲で対応できる余地があります。席数と提供メニューを保健所に示して判断を仰いでください。
Q. 開業後にイートインを増やすときはどうなりますか
飲食店営業の許可を追加で取得することになります。既存の許可に客席を足すだけでは足りず、新たな業種の許可申請と施設検査が必要です。工事の前に保健所へ相談し、客席と厨房の区画、手洗いの位置を確認しておくと、改修のやり直しを避けられます。
Q. 自宅のキッチンでパンを焼いて売れますか
家族共用の台所のままでは基準を満たしません。住居と食品を扱う場所を区画し、専用の製造室、専用の手洗い、不浸透性の床と腰張りを確保する必要があります。増築や間取り変更を伴うことが多く、物件選びの段階で保健所に相談するのが現実的です。
Q. 卸売を始めるときに追加で必要な許可はありますか
飲食店営業で始めた店が卸売に広げる場合は、菓子製造業の許可が必要になります。逆に菓子製造業で始めた店は、すでに製造業の許可を持っているため、卸先を増やすこと自体に新しい許可は要りません。惣菜や弁当も卸すなら、そうざい製造業が別途必要になります。
Q. 許可の更新は何年ごとですか
有効期間は条例で定められ、食品衛生法第55条第3項が5年を下回らない範囲としています。千葉県では許可期限が満了する当月中に継続申請を出す決まりで、更新前には施設調査があります。許可証に記載された期限を確認し、申請の準備は余裕を持って始めてください。
まとめ
パン屋の許可は、店内で食べさせるか、持ち帰り用に焼いて売るか、他の店へ卸すかで決まります。イートインなら飲食店営業、持ち帰りと卸売なら菓子製造業、仕入れて売るだけなら営業届出です。パンは菓子製造業の定義に含まれるため、パン専用の許可を探す必要はありません。
判断を誤りやすいのは、工事の後ではなく前の段階です。千葉県の条例には面積の数値基準がなく、区画と動線で評価されます。物件を契約し、内装に着手してから「この区画では通らない」と分かると、費用も日程も大きく振り出しに戻ります。図面と提供メニュー、卸売の予定を整理したうえで、着工前に管轄の保健所へ相談してください。

