酒類を売るには、酒税法9条の酒類販売業免許を、販売場ごとに所轄税務署長から受けます。飲食店が店内で出す酒はこの免許の対象外で、必要なのは食品衛生法の飲食店営業許可です。免許を取ったら、販売を始めるまでに酒類販売管理者を選任します。この3点を押さえれば、申請の順番は見えます。

この記事は、千葉県で酒類の小売業・卸売業を始める方に向けて、免許の区分、4つの要件、必要書類、申請の流れと費用、酒類販売管理者の選任、ネット販売に必要な別の免許を、酒税法と国税庁の手引(令和8年9月改訂)で確認して整理したものです。飲食店の営業許可や深夜営業の届出は扱いません。その部分は飲食店営業許可の取り方で確認してください。

酒類販売業免許とは|販売場ごとに税務署長から受ける免許

酒税法9条1項は、こう定めています。「酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならない」。ここでいう販売場は、同じ条文の括弧書きで「継続して販売業をする場所」と定義されています。店舗でも、事務所でも、倉庫でも、継続して売る場所なら販売場です。

「販売場ごと」という言葉が、この制度のいちばん実務的な部分です。本店で免許を受けていても、支店で酒類を売るなら、支店の所在地を所轄する税務署長から新たに免許を受けます。同じ市内だから大丈夫、同じ法人だから大丈夫、という扱いにはなりません。逆に、販売場を設けずに営む場合は住所地が基準になります。

名称は「許可」ではなく「免許」です。酒税法は行政手続の種類として免許を用いており、申請先は都道府県ではなく税務署です。飲食店の営業許可が保健所(食品衛生法)であるのと、根拠法も窓口も違います。検索では「酒類販売業許可」と書かれることも多いのですが、申請書の名前は「酒類販売業免許申請書」です。

免許の対象は、小売業と卸売業だけではありません。販売の代理業と媒介業も、9条1項の「販売業」に含まれます。他人間の売買を継続的に取り次ぐ仕事も、免許が必要な領域です。ここでいう販売は「継続的に販売すること」を指し、営利を目的とするかどうか、特定の相手に売るか不特定多数に売るかは問わない、と国税庁の法令解釈通達は説明しています。

免許を受けずに酒類の販売業をした場合は、酒税法56条1号により、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されます。酒類の没収や、営業に使った機械・器具の没収につながる規定も同じ章にあります。「少しなら大丈夫」が通る制度ではありません。

飲食店でお酒を出すときとの違い|免許が要るのは店の外に売るとき

読者が最も混同しやすいのが、ここです。酒税法9条1項のただし書は、「酒場、料理店その他酒類をもっぱら自己の営業場において飲用に供する業については、この限りでない」と定めています。店内で客に飲んでもらう行為は、酒類の「販売」ではなく「提供」として扱われ、酒類販売業免許の対象外になります。

飲食店を開くときに必要なのは、食品衛生法の飲食店営業許可です。申請先は保健所で、施設基準と食品衛生責任者が審査の中心になります。千葉県の施設基準と申請の流れは飲食店営業許可の取り方に、電子申請の使い方は飲食店の営業許可と電子申請にまとめています。酒類販売業免許とは根拠法も窓口も別なので、同じ申請書で済ませることはできません。

深夜まで営業する場合は、もう一つ別の手続きが加わります。午前0時から午前6時まで酒類を提供する飲食店は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律33条の深夜酒類提供飲食店営業開始届を、営業所ごとに公安委員会へ提出します。これも許可ではなく届出です。制度の詳細は深夜酒類提供飲食店営業の届出で確認してください。

逆に、店内で出すつもりで始めた店が、店の外に売ると免許が必要になります。テイクアウト用に瓶のまま渡す、量り売りをする、通信販売で自宅へ届ける。これらはすべて販売業です。国税庁も、営業場以外の場所で飲用に供されるための酒類を販売する場合は、販売場ごとに販売業免許が必要だと明記しています。

飲食店と酒販店を同じ建物で兼業することは可能ですが、条件が付きます。飲食店部分と酒販店部分を場所として区分し、飲用に供する酒類と酒販用の酒類について、仕入・売上・在庫を明確に分けて管理し、それが帳簿で確認できる状態にします。レジも在庫も一緒、という運用では、販売業の実態を説明できません。

行為 必要な手続き
店内提供 酒類販売業免許は不要。食品衛生法の飲食店営業許可
深夜提供 風営法33条の深夜酒類提供飲食店営業開始届(公安委員会)
持ち帰り 酒類小売業免許。販売場ごとに取得
ネット通販 通信販売酒類小売業免許、または一般免許の条件緩和
卸売 酒類卸売業免許
兼業 酒類小売業免許。場所・仕入・在庫の区分が前提
表1 店内で出す場合と店の外に売る場合

居酒屋として開業する場合、飲食店営業許可、深夜の届出、防火対象物使用開始届、そしてテイクアウト販売の有無による酒類販売業免許の要否まで、判断する項目が重なります。全体の順番は居酒屋開業に必要な許可と申請手続きで整理しています。

免許の種類|小売・卸売・代理・媒介の4系統

酒類販売業免許は、まず小売業免許と卸売業免許に分かれ、その下が販売する相手と販売方法で細かく区分されます。さらに、販売の代理業免許と媒介業免許が別にあります。申請書は1種類ですが、どの区分で申請するかによって、要件も登録免許税も販売できる相手も変わります。

小売業免許は3つです。一般酒類小売業免許は、販売場において、原則としてすべての品目の酒類を小売できます。ただし免許には「通信販売を除く小売に限る」という条件が付くのが原則です。通信販売酒類小売業免許は、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象に、インターネットやカタログで販売するための免許です。特殊酒類小売業免許は、消費者等の特別の必要に応ずるための小売で、用途や目的が限定されます。

卸売業免許は8つに分かれます。全酒類、ビール、洋酒、輸出入、店頭販売、協同組合員間、自己商標、特殊です。全酒類は原則すべての品目を、ビールはビールだけを卸売できます。洋酒は果実酒・ウイスキー・スピリッツなど洋酒の全部または一部、輸出入は自己が輸出または輸入する酒類が対象です。店頭販売は会員の酒類販売業者に店頭で手渡す方法に限られ、配達はできません。協同組合員間は加入する事業協同組合の組合員である小売業者に、自己商標は自ら開発した商標・銘柄の酒類に限定されます。

販売できる相手が、区分ごとに決まっています。小売業免許で売れるのは、消費者、料飲店営業者(酒場・料理店など、もっぱら自己的営業場で飲用に供する営業を行う者)、菓子等製造業者の3者です。他の酒類販売業者に売ることはできません。逆に卸売業免許で売れるのは、酒類販売業者と酒類製造者です。小売免許しか持たない店が、飲食店に卸す形でまとめて売ると、卸売の無免許になります。

一般酒類小売業免許 販売場で、原則としてすべての品目の酒類を小売できる。免許には「通信販売を除く小売に限る」条件が付く
通信販売酒類小売業免許 2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象に、ネットやカタログで販売できる。扱える酒類の範囲に制限がある
特殊酒類小売業免許 消費者等の特別の必要に応ずるための小売。用途や目的が限定される
全酒類卸売業免許 酒類販売業者・製造者に、原則すべての品目を卸売できる。都道府県ごとの免許可能件数の範囲内
ビール卸売業免許 ビールだけを卸売できる。同じく免許可能件数の範囲内
洋酒・輸出入卸売業免許 洋酒の全部または一部、自己が輸出入する酒類を卸売できる
店頭販売・協同組合員間・自己商標 会員の販売業者への店頭渡し、組合員間、自社開発の商標・銘柄に限定される
特殊酒類卸売業免許 製造者の本支店等、企業合同、共同販売機関に対する卸売
販売代理業・販売媒介業免許 販売そのものではなく、継続的な代理・媒介を行う場合
表2 酒類販売業免許の区分

選び方は、3つの質問でほぼ決まります。誰に売るのか(消費者か、飲食店か、酒販店か)、どこで売るのか(店頭か、ネットか)、何を売るのか(全品目か、ビールだけか、自社ブランドか)。店頭で消費者と飲食店に売るなら一般酒類小売業免許、ネットで県外の客に売るなら通信販売酒類小売業免許、酒販店や飲食店に継続して卸すなら卸売業免許です。イベント会場で一時的に売る場合は、博覧会場・即売会場等で臨時に販売場を設けるものとして、期限を付した免許の対象になります(9条2項)。

卸売のうち、全酒類とビールは需給調整の度合いが強い免許です。都道府県を単位とする卸売販売地域ごとに、毎年9月1日に免許可能件数が公告され、9月中の申請を対象に10月に公開抽選が行われます。抽選で審査順位が決まり、その順位に従って審査され、件数の範囲内で免許が付与されます。ほかの卸売区分は抽選の対象ではなく、申請順に審査されます。

免許の要件|人的・場所的・経営基礎・需給調整の4つ

酒税法10条は、申請があっても「次の各号のいずれかに該当するときは、税務署長は免許を与えないことができる」と定めています。要件を満たせば必ず出る、という書き方ではない点に注意してください。実務では、要件を満たしていることを「酒類販売業免許の免許要件誓約書」で誓約し、審査で確認されます。誓約の内容を偽るなど不正があると、審査段階なら拒否、取得後なら取消の対象になります。

1つ目は人的要件です(10条1号から8号)。免許を取り消された日から3年を経過していること、申請前2年内に国税または地方税の滞納処分を受けていないこと、国税・地方税の法令違反で罰金刑または通告処分を受けた場合はその終了や履行から3年を経過していること。二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律、風営法のうち20歳未満への酒類提供に係る部分、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法の傷害・暴行・脅迫・背任などの罪で罰金刑に処せられた場合も、執行終了から3年が必要です。拘禁刑以上の刑に処せられた場合は、執行終了から3年を経過している必要があります。申請者が法人なら役員が、未成年者なら法定代理人が、支配人を置くなら支配人も、同じ要件を満たします。

2つ目は場所的要件です(10条9号)。正当な理由がないのに、取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていないこと。具体的には、酒類の製造場や他の販売場、酒場・料理店等と同一の場所でないこと、そして販売場の区画割り、専属の販売従事者の有無、代金決済の独立性などから、他の営業主体の営業と販売行為が明確に区分されていることが求められます。狭い店舗の一部を借りて陳列棚だけを販売場にする、という形は認められません。

3つ目は経営基礎要件です(10条10号)。破産手続開始の決定を受けて復権を得ていないことに加え、経営の基礎が薄弱と認められないことが必要です。具体的には、国税・地方税の滞納、申請前1年以内の銀行取引停止処分、最終事業年度の繰越損失が資本等の額を上回る状態、最終事業年度以前3事業年度すべてで資本等の額の20%を超える欠損、酒税関係法違反の通告処分の未履行や告発、建築基準法・都市計画法・農地法等に違反して店舗の除却又は移転を命じられている状態、酒類の適正な販売管理体制が構築されないことが明らかな場合が該当します。

同じ経営基礎要件には、知識と能力、資金と施設の要件も含まれます。酒類の製造業・販売業の業務に引き続き3年以上直接従事した者、調味食品等の販売業を3年以上継続して経営している者、これらの期間が通算3年以上になる者が目安です。経験がない場合は、酒類販売管理研修の受講状況などから、商品管理の知識や記帳義務を履行する能力が実質的に審査されます。販売を継続するために必要な資金、販売施設、設備を有していること、または免許付与までに有することが確実であることも必要です。

4つ目は需給調整要件です(10条11号)。酒税の保全上、酒類の需給の均衡を維持する必要があるため免許を与えるのが適当でない場合に該当しないこと。小売では、設立の趣旨からみて販売先が原則として構成員に特定されている法人・団体でないこと、酒場・旅館・料理店等の酒類を取り扱う接客業者でないことが求められます。接客業者でも、国税局長が支障がないと認めた場合は免許を受けられます。卸売の全酒類とビールは、前述のとおり免許可能件数による調整が入ります。

人的要件(10条1〜8号) 免許取消から3年、申請前2年内の滞納処分なし、罰金・通告処分から3年、拘禁刑の執行終了から3年。法人は役員、未成年者は法定代理人、支配人も対象
場所的要件(10条9号) 取締り上不適当な場所でないこと。製造場・他の販売場・酒場等と同一場所でないこと、区画・専属従事者・代金決済で明確に区分されていること
経営基礎要件(10条10号) 破産・滞納・銀行取引停止・繰越損失・3期連続の20%超欠損がないこと。知識能力(3年以上の経験など)と、資金・施設・設備があること
需給調整要件(10条11号) 小売は販売先が構成員に特定された法人等でなく、接客業者でないこと。卸売の全酒類・ビールは免許可能件数と公開抽選
表3 免許の4つの要件

申請に必要な書類|一般酒類小売業免許の9点

一般酒類小売業免許の申請書類は、国税庁の手引で9点に整理されています。申請書1通に次葉6枚を添え、そこに誓約書、履歴書、定款、納税証明書、契約書、財務諸表、登記事項証明書、チェック表を組み合わせる形です。すべてを毎回そろえる必要はなく、省略できる書類も明記されています。

次葉は、販売場を具体的に説明する部分です。次葉1が販売場の敷地の状況で、建物の一部であっても建物全体図に位置を示します。次葉2が建物等の配置図で、倉庫部分、標識の掲示、酒類の陳列場所における表示まで明示します。次葉3が事業の概要、次葉4が収支の見込み、次葉5が所要資金の額と調達方法、次葉6が酒類の販売管理の方法に関する取組計画書です。売り方と管理体制を、図面と数字で説明する書類だと考えると書きやすくなります。

申請書 酒類販売業免許申請書。次葉1〜6(敷地の状況、配置図、事業の概要、収支の見込み、資金、販売管理)を添える
誓約書 免許要件誓約書。申請者、法定代理人、法人の役員、支配人が対象
履歴書 申請者の履歴書。法人は監査役を含む役員全員の職歴
定款 法人の場合のみ。写しを提出
納税証明書 都道府県と市区町村が発行。未納がない旨と、2年以内に滞納処分を受けていない旨の両方を証明する
契約書 賃貸借契約書、建物の請負契約書、農地転用許可の証明など、販売場の使用権原を示すもの
財務諸表 最終事業年度以前3事業年度分。個人は収支計算書等を添える
登記事項証明書 土地と建物の分。全部事項証明書に限る。建物が複数の土地にかかる場合は全ての地番分
チェック表 一般酒類小売業免許申請書チェック表。添付漏れを防ぐ
表4 一般酒類小売業免許の申請書類

省略できるのは、履歴書と定款です。申請販売場の所在地を管轄する税務署の管内に、すでに免許を受けた酒類販売場を持っている場合は添付を省けます。財務諸表も、過去3年分の所得税・法人税の確定申告書を税務署に提出しているときは省略できます。ただし、省略できるのは「添付」であって「確認」ではありません。審査で求められれば、いつでも出せる状態にしておいてください。

提出した書類は、原則として返却されません。登記や契約書の原本ではなく写しを求められるのは、このためです。申請はe-Taxでもでき、添付書類はPDFのイメージデータで送れます。不動産の登記事項証明書は、登記情報提供サービスの照会番号で代替できます。書面で出す場合は、販売場の所在地を所轄する税務署の文書受付窓口に届いた時点が受付日です。郵送の場合は通信日付印の日ではなく、到達した日が基準になります。

卸売業免許は、書類の点数が増えます。全酒類とビールは、抽選の対象期間に「申請時提出分」だけを出し、抽選の後に審査開始通知書を受けてから「審査時提出分」を出す二段階になります。小売と同じ書類に加えて、販売先や販売数量の見込みを説明する資料が要ります。卸売を検討している場合は、申請の前に所轄税務署の酒類指導官部門へ相談しておくと、区分の選び方で迷いません。

申請の流れと標準処理期間|2か月と登録免許税3万円

申請書は、販売業を始める前であればいつでも出せます。提出先は販売場の所在地を所轄する税務署で、受付順に審査されます。審査では、書類の内容に不備がないか、申請者等と販売場が要件に合致しているかが確認され、必要に応じて来署を求められたり、現地確認が行われたりします。

標準処理期間は2か月です。国税庁は、申請書等の提出があった日の翌日から2か月以内を標準的な日数としています。ただし、添付漏れや追加書類の提出、申請書の補正が必要になった場合は、連絡した日から書類が届くまでの期間が標準処理期間から除かれます。2か月は「補正なしで順調に進んだ場合」の数字です。

免許が付与されると、税務署から登録免許税の納付通知書が届きます。登録免許税は免許1件につき、小売業免許が3万円、卸売業免許が9万円です。小売から卸売へ条件を緩和する場合は6万円になります。申請そのものに手数料はかかりません。納付した領収証書を「登録免許税の領収証書提出書」に貼って提出し、納付が確認された後に酒類販売業免許通知書が交付または送付されます。領収証書は原本が必要で、写しでは受け付けられません。

STEP1 販売場と区分を決める 誰に売るか(消費者・飲食店・酒販店)、どこで売るか(店頭・ネット)、何を売るかで免許の種類が決まる
STEP2 要件を確認する 人的要件、場所的要件、経営基礎要件、需給調整要件の4つ。役員や支配人も対象
STEP3 書類をそろえる 申請書と次葉1〜6、誓約書、履歴書、定款、納税証明書、登記、契約書など
STEP4 所轄税務署へ申請 販売前ならいつでも。e-Taxか書面。郵送は到達日が受付日
STEP5 審査 標準処理期間は提出日の翌日から2か月。補正の期間は除かれる。来署・現地確認あり
STEP6 登録免許税を納付 小売3万円、卸売9万円。領収証書の原本を提出
STEP7 免許通知書を受け取る 納付の確認後に交付または送付。ここで免許の効力が生じる
STEP8 酒類販売管理者を選任 販売開始までに選任し、2週間以内に届け出る
STEP9 販売開始 記帳、標識の掲示、20歳未満への販売防止、毎年度の販売数量の報告
表5 免許取得から販売開始までの流れ

千葉県内の販売場は、所在地を管轄する税務署が窓口になります。県内には14の税務署があり、千葉市は区によって千葉東・千葉西・千葉南に分かれます。酒税やお酒の免許の相談は、各税務署の酒類指導官部門が受けますが、千葉県では千葉東税務署、松戸税務署、成田税務署の3署が担当します。来署して相談する場合は事前予約が必要です。

市川 市川市・浦安市
船橋 船橋市
松戸 松戸市・流山市・鎌ケ谷市
柏 野田市・柏市・我孫子市
千葉東 千葉市中央区・花見川区の一部
千葉西 千葉市花見川区・稲毛区・美浜区の一部、習志野市、八千代市
千葉南 千葉市中央区の一部、緑区、市原市
佐原 香取市・香取郡
成田 成田市・佐倉市・四街道市・八街市・印西市・白井市・富里市・印旛郡
東金 東金市・山武市・大網白里市・山武郡
銚子 銚子市・旭市・匝瑳市
木更津 木更津市・君津市・富津市・袖ケ浦市
茂原 茂原市・勝浦市・いすみ市・長生郡・夷隅郡
館山 館山市・鴨川市・南房総市・安房郡
表6 千葉県内の税務署と管轄区域

申請から販売開始までは、3か月を見ておくのが安全です。標準処理期間の2か月に、登録免許税の納付と免許通知書の交付、酒類販売管理者の選任と届出が加わります。店舗の開店日に合わせるなら、内装や仕入れの計画より先に、免許の申請日を決めてください。

酒類販売管理者|販売を始めるまでに選任する

酒類小売業者には、販売場ごとに酒類販売管理者を選任する義務があります(酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律86条の9)。選任の期限は「酒類の販売業務を開始する時まで」です。開業してから慌てて選ぶのでは遅く、免許を取る前から人を決めて研修を受けさせておく必要があります。

選任できるのは、その販売場で酒類の販売業務に従事する者で、酒類販売管理研修を過去3年以内に受けた者のうち、次の条件をすべて満たす人です。未成年者でないこと、心身の故障により職務を適正に行えない者でないこと、酒税法10条1号・2号・7号・8号に該当しないこと、引き続き6か月以上の期間継続して雇用されることが予定されていること(生計を一にする親族と、雇用期間の定めのない者を含む)、他の販売場で酒類販売管理者に選任されていないこと。社長自身が店に立つ場合も、要件を満たせば管理者になれます。

管理者の仕事は、従業員への助言と指導です。酒税法、酒類業組合法、二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律、アルコール健康障害対策基本法、容器包装リサイクル法、独占禁止法、景品表示法など、販売業務に関わる法令の遵守を現場に浸透させます。売る人ではなく、売り方を見る人だと考えると役割がはっきりします。

研修は1回で終わりません。酒類小売業者は、管理者に前回の受講から3年を超えない期間ごとに研修を受けさせます。研修は財務大臣が指定した団体が実施し、免許を受ける前でも受講できます。受講させていない場合は勧告・命令の対象になり、命令に違反すると50万円以下の罰金です。管理者を選任しなかった場合も、50万円以下の罰金に処されます。

選任または解任をしたときは、2週間以内に所轄税務署長へ届け出ます。この届出を怠ると10万円以下の過料です。販売場ごとに、公衆の見やすい場所へ、管理者の氏名と研修の受講事績を記載した標識を掲げます。通信販売を行う場合は、カタログやネットの画面にも同じ事項を表示します。標識の様式は国税庁のサイトから入手できます。

売場の規模や時間帯によっては、管理者とは別に責任者を置きます。午後11時から翌日午前5時まで販売する場合、管理者が長時間不在になることがある場合、売場が100平方メートルを超えるごとに1名、酒類売場が複数階に分かれる場合は管理者のいない階ごとに1名、同じ階で売場が20メートル以上離れている場合や3か所以上に点在する場合も、責任者の配置が必要です。深夜の販売では、できるだけ成年者を配置します。

通信販売(ネット販売)|2都道府県以上なら別の免許

ネットで酒を売る場合、まず「販売場の近隣の商圏か、全国か」を分けます。通信販売とは、2都道府県以上の広範な地域の消費者等を対象に、商品の内容や販売価格その他の条件をインターネットやカタログで提示し、郵便・電話その他の通信手段で申込みを受けて、提示した条件どおりに販売することをいいます。県をまたぐ電話やネットの受注でも、一般的に自分の販売場の近隣エリア(商圏)にとどまるなら、一般酒類小売業免許の対象です。

全国に向けて売るなら、通信販売酒類小売業免許を新たに取得します。すでに一般酒類小売業免許を持っている店が通信販売を始める場合は、新規申請ではなく「酒類販売業免許の条件緩和申出書」で、販売方法の条件を外す手続きになります。条件緩和の場合は登録免許税の納付は不要です。逆に、通信販売免許だけを持っている店が店頭販売を始める場合も、条件の変更が必要になります。

通信販売免許で扱える酒類は、すべてではありません。国産酒類のうち、カタログ等の発行年月日の属する会計年度の前会計年度における品目ごとの課税移出数量が、すべて3,000キロリットル未満である酒類製造者が製造・販売するもの。国産酒類のうち、地方の特産品等を原料として特定製造者以外の製造者に製造委託し、その委託数量の合計が1会計年度で3,000キロリットル未満のもの。そして輸入酒類です。大量生産の大手銘柄を全国に売るには、この免許では足りません。

表示の義務も増えます。広告やカタログ等に「20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されている」などと表示し、購入申込書やネットの申込画面には年齢の記載欄を設けて、その近くに同じ旨を表示します。納品書等にも20歳未満の飲酒禁止を表示します。文字の大きさは10ポイント以上、ネットの場合は価格表示に使っている文字以上の大きさです。これに加えて、酒類販売管理者の氏名と受講事績も、カタログ等の見やすい場所に表示します。

販売場の考え方も、店舗販売とは少し違います。通信販売でも免許は販売場ごとですから、事務所や配送の拠点をどこに置くかで所轄税務署が決まります。販売場とは別の場所に酒類の貯蔵用の倉庫を設けるときは、あらかじめ「酒類蔵置所設置・廃止報告書」を提出します。免許を受けていない倉庫で販売契約を締結することはできません。

よくある失敗|古い情報のまま動くとつまずく8つのポイント

1つ目は、制度名を「許可」で探してしまうことです。世間では酒類販売業許可と呼ばれますが、酒税法上の名称は免許です。申請書も免許通知書も「免許」で、申請先は税務署です。都道府県や保健所に相談しても、この手続きは扱っていません。

2つ目は、飲食店なら免許が不要だと思い込むことです。店内で飲んでもらう分には不要ですが、テイクアウト用に瓶のまま売る、量り売りをする、ネットで自宅へ送るとなれば必要です。飲食店と酒販店の兼業は可能ですが、場所と在庫の区分が前提になります。

3つ目は、更新があると思っていることです。酒税法には販売業免許の有効期間の定めがなく、更新の手続きもありません。3年ごとに必要になるのは、免許の更新ではなく酒類販売管理研修の受講です。免許が終わるのは、廃止の届出をしたとき、取消処分を受けたとき、2年以上引き続き販売をしなかったときなどです(14条3号)。

4つ目は、費用と期間の見積もりを誤ることです。申請に手数料はかかりませんが、免許時に登録免許税がかかります。小売3万円、卸売9万円で、これは免許1件ごとです。期間も、標準処理期間2か月に納付と管理者の選任が加わるため、販売開始までは3か月で見ておきます。

5つ目は、場所的要件と需給調整要件の見落としです。既存の酒販店や飲食店と同じ場所、明確な区画のない間借りは認められません。接客業者が小売免許を取る場合は、国税局長の判断が必要になります。物件を契約する前に、その場所で免許が取れるかを確認してください。

6つ目は、酒類販売管理者の選任を開業後に回すことです。選任は販売業務の開始時まで、届出は選任から2週間以内です。研修は免許前でも受けられるので、申請と並行して人を決め、研修の日程を押さえます。

7つ目は、販売場の移転を届出で済ませようとすることです。住所や名称の変更は異動申告ですが、販売場を他の場所へ移す場合は移転の許可が必要です(16条)。移転先についても、場所的要件と需給調整要件が審査されます。移転は、標準処理期間を考慮して先に動きます。

8つ目は、免許を取った後の義務を軽く見ることです。酒類の仕入れと販売は、品目別・税率の適用区分別に帳簿へ記載し、販売場ごとに5年間保存します(46条)。毎年度の酒類の品目別販売数量と年度末の在庫数量は、翌年度の4月30日までに報告します。休止や再開は遅滞なく申告します。記帳義務や報告義務を怠ると、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です。

場面 手続き
販売場を移転する 移転の許可(16条)。移転先の所轄税務署長へ
販売業をやめる 免許取消申請書を提出
住所・名称・販売場の名称が変わる 異動申告書。直ちに
販売を休止・再開する 休止・開始(異動)申告書。遅滞なく
販売場と別の場所に倉庫を設ける 蔵置所設置・廃止報告書。あらかじめ
相続・事業譲渡があった 相続申告書・事業譲渡申告書。遅滞なく
法人成り・合併・分割をする 新規申請と取消申請を同時に。あらかじめ
毎年度の販売数量を報告する 販売数量等報告書。翌年度の4月30日まで
表7 免許取得後に必要になる手続き

よくある質問

個人事業主でも免許は取れますか

取れます。酒類販売業免許は個人でも法人でも申請でき、人的要件と経営基礎要件は同じように審査されます。個人の場合は、履歴書のほか、財務諸表に代えて収支計算書等を添えます。営業に関して成年者と同一の行為能力を持たない未成年者が申請する場合は、法定代理人が人的要件を満たす必要があります。

店舗を持たず、ネット販売だけで免許は取れますか

取れますが、販売場は必要です。免許は販売場ごとに付与されるため、事務所や作業場所を販売場として申請します。通信販売用の倉庫を別に設ける場合は、蔵置所として報告します。自宅の一室を販売場にする場合も、住所や間取り、在庫の保管方法を書類で説明できるようにしてください。

免許に有効期限や更新はありますか

ありません。酒税法に販売業免許の有効期間の定めはなく、更新の手続きも不要です。ただし、博覧会場や即売会場で臨時に販売場を設ける場合の期限付免許は、期限が付きます。3年ごとに受講が必要なのは、酒類販売管理者の研修です。免許と研修を混同しないでください。

申請から販売開始まで、どのくらいかかりますか

標準処理期間は2か月で、そこに登録免許税の納付と免許通知書の交付、酒類販売管理者の選任と届出が加わります。3か月を見ておけば余裕があります。書類の補正や追加提出があると、その期間は処理期間に含まれないため、さらに延びます。開店日から逆算して、遅くとも3か月前には申請してください。

千葉県で相談できる窓口はどこですか

販売場の所在地を管轄する税務署が窓口です。酒税やお酒の免許の相談は、千葉県では千葉東税務署、松戸税務署、成田税務署の酒類指導官部門が担当します。来署して相談する場合は事前予約が必要です。メールや電話での一般的な質問は、各税務署の代表番号でも受け付けています。

まとめ|決める順番を間違えなければ迷わない

酒類販売業免許で決めることは3つです。誰に、どこで売るかで免許の区分を決める。4つの要件を満たすことを確認して書類をそろえる。販売開始までに酒類販売管理者を選任する。この順番が決まれば、あとは所轄税務署に出して、審査を受け、登録免許税を納めて免許通知書を受け取るだけです。

順番で失敗しやすいのは、物件と内装を先に決めてしまうケースです。同じ場所での営業、明確な区画、接客業者に該当しないかは、契約の前でなければ戻せません。図面の段階で税務署に相談すれば、この手戻りはほとんど防げます。

飲食店として酒を出すのか、酒販店として売るのか。この切り分けが最初の分岐です。店内で出すだけなら食品衛生法の飲食店営業許可で足りますが、店の外に売るなら酒税法の免許が必要になります。両方やるなら、場所と帳簿を分けて、2つの制度を並行して進めてください。