古物商許可は、都道府県公安委員会の許可制です。千葉県で申請するなら、主たる営業所を管轄する警察署の生活安全課が窓口になります。手数料は19,000円、標準処理期間は概ね40日で、審査の山は欠格事由です。破産して復権していない、拘禁刑以上の刑の執行を終わってから5年を経過していない、住居が定まっていないといった事情があると、書類をそろえても許可されません。以下、どの業態で許可が必要になるか、13品目の区分、欠格事由、必要書類、申請の流れ、許可後の台帳と確認義務まで、古物営業法と千葉県警の資料に沿って順に整理します。

古物商許可とは何を規制する許可か

古物営業法第1条は、この法律の目的を「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資すること」と定めています。古物商許可は、商売の許しというより、盗品が流通しない仕組みに事業者を組み込むための許可です。だからこそ、許可後の帳簿と本人確認の義務が重く、違反には罰則が付いています。

許可をするのは都道府県公安委員会です(法第3条)。市町村や保健所、県知事ではありません。千葉県内に主たる営業所を置くなら千葉県公安委員会が許可権者で、申請は主たる営業所の所在地を管轄する警察署長を経由して行います(同法第5条第1項、古物営業法施行規則第1条の3第2項)。許可を受けて第2条第2項第1号の営業を営む者が「古物商」です(同条第3項)。

古物営業法が規制する営業は3種類あり、許可が必要なのは前の2つです。3つ目だけは許可ではなく届出で、しかも義務を負うのは市場やアプリを運営する側です。自分の店で中古品を売買する人が届出で済ませられる、という意味ではありません。

類型根拠と手続き
古物商古物の売買・交換、または委託を受けた売買・交換。法第3条の許可が必要で、許可権者は都道府県公安委員会
古物市場主古物商同士が売買する市場の経営。同じく法第3条の許可が必要
競りあっせん競りの方法で売買をあっせんする営業。許可ではなく、営業開始の日から2週間以内の届出(法第10条の2)
表1 古物営業法が規制する3つの営業

許可の単位も、昔とは変わっています。平成30年4月に公布された改正法が令和2年4月1日に全面施行され、それまでの「営業所ごと、都道府県ごと」の許可から、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会の許可1本に統合されました。改正前に複数の都道府県から許可を受けていた事業者は、令和2年3月31日までに主たる営業所等の届出をし、令和3年3月31日までに新許可証の交付申請(手数料無料)を行う経過措置が取られています。これから取る人には関係のない話に見えますが、「営業所を増やすたびに許可を取り直す」という古い解説が残っているため、先に整理しておきます。

現在の許可は全国で有効です。他都道府県に2つ目の営業所を出す場合も、新たな許可は要らず、所在地の変更・新設として事前の変更届を出します(法第7条第1項)。逆に、許可に有効期限はありません。古物営業法には許可の有効期間や更新の規定がなく、更新手続きも更新料も存在しません。ただし、後述する変更届と、廃業したときの許可証の返納(法第8条第1項)は必要です。

どの業態で古物商許可が必要になるか

分かれ目は「買取りをするかどうか」です。法第2条第2項第1号は、古物営業を「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの」と定義しています。売るだけ、あるいは自分が売った物を買い戻すだけなら許可は不要。買取りが入った時点で、あるいは委託を受けて売買する形を取った時点で、許可が必要になります。

実際には、次のような業態が該当します。リサイクルショップ、古着店、ブランド品・貴金属の買取り、中古車販売、楽器店、カメラ店、中古パソコン、ゲーム・ホビー、古書店、アンティーク・骨董、工具・農機具の売買。店舗を持たずに出張買取や訪問買取をする場合、フリマアプリやネットオークションで仕入れて売る場合も、業として行うなら同じです。委託を受けて預かった品を売る委託販売も、第1号の「委託を受けて売買」に当たります。

許可が不要なのは、買取りをせず、無償または手数料を徴して引き取った古物を売却する営業です。千葉県警の「よくある問い合わせQ&A」も、この類型を古物商から除いています。たとえば遺品整理で引き取った品を、買取りをせずに販売する形です。新品だけを仕入れて売る小売業、自分が購入した品を買い戻すだけの取引も、古物商許可の対象ではありません。もっとも、買取りを1件でも始めた時点で許可が必要になるので、事業の組み立てを変えるときは警察署に確認してください。

ネット販売は「店舗がないから許可不要」ではありません。自社のホームページやネットショップで古物を売り、申込みを通信手段で受ける方法を取る場合は、その送信元を識別する符号(ドメインなど)を申請書に記載します(法第5条第1項第6号)。開設やURLの変更も届出の対象です。フリマアプリやオークションサイトは、運営会社が古物競りあっせん業者として届出をしている側で、出品者側は自分の取引が「業として」に当たるかどうかで許可の要否が決まります。生活用品を整理して単発で売るのと、仕入れて継続的に売るのとでは扱いが違います。

古物商許可と混同しやすい隣接制度も整理しておきます。廃棄物の収集運搬や処分は廃棄物処理法の許可で、古物商許可とは別の制度です。産業廃棄物の収集運搬業許可の仕組みは産業廃棄物収集運搬業の更新で整理しています。金属くずを屋外で保管する事業は、千葉県特定再生資源屋外保管業の許可が別に必要で、こちらは特定再生資源屋外保管業(金属スクラップヤード)の解説にまとめました。古物商許可を取ったからといって、ヤードの許可や廃棄物の許可が代替できるわけではありません。

業態古物商許可
買取りあり必要。買取り+販売、買取り専門店、出張買取、ネット販売のすべてが対象
買取りなし不要。無償または手数料を徴して引き取った古物の売却は除かれる
委託販売必要。委託を受けて売買する営業は第1号に含まれる
新品のみ不要。古物を扱わないので古物営業に当たらない
金属くず必要。屋外保管を伴うなら知事のヤード許可も別に必要
廃棄物別制度。廃棄物処理法の許可で、古物商許可とは重ならない
表2 業態ごとの古物商許可の要否

取り扱う古物は13品目に区分される

許可申請書には、営業所ごとに取り扱う古物の区分を記載します(法第5条第1項第3号)。その区分は古物営業法施行規則第2条が13品目に定めており、「その他」という受け皿はありません。千葉県警のQ&Aも、ファクシミリ装置は事務機器類、電気類は機械工具類、楽器は道具類に分類されると例示しています。扱いたい品がどの区分に入るか迷ったら、申請前の相談で確認しておくのが確実です。

品目含まれるもの
美術品類書画、彫刻、工芸品など
衣類和服類、洋服類、その他の衣料品
時計・宝飾品類時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類など
自動車自動車とその部分品
自動二輪・原付自動二輪車、原動機付自転車とこれらの部分品
自転車類自転車とその部分品
写真機類写真機、光学器など
事務機器類レジスター、謄写機、電卓、ワープロ、ファクシミリ、事務用電子計算機など
機械工具類電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具など
道具類家具、じゅう器、運動用具、楽器、記録媒体、レコードなど
皮革・ゴム製品類カバン、靴など
書籍書籍全般
金券類商品券、乗車券、郵便切手、政令で定める証票など
表3 古物の13品目(施行規則第2条)

そもそも何が「古物」に当たるのかも、条文で確認しておきます。法第2条第1項は、一度使用された物品、使用されない物品で使用のために取引されたもの、これらの物品に幾分の手入れをしたものを古物とし、鑑賞的美術品や商品券・乗車券・郵便切手その他政令で定める証票を含めています。ただし大型機械類は除かれます。千葉県警のQ&Aは、航空機、鉄道車両、20トン以上の船舶、5トンを超える機械などを除外例として挙げ、5トンを超える機械でも自走できるものやけん引する装置があるものは除かれないとしています。中古の重機や産業機械を扱う場合は、この線を早めに確認してください。

複数の区分を扱うことはできます。申請書に記載した区分の範囲で営業し、区分を追加・変更するときは事後届出になります(14日以内、登記事項証明書の添付が必要な場合は20日以内)。自動車は部分品を含む区分なので、中古車と部品を扱うなら車台番号による個体の確認が前提になります。登録や名義変更の手続きは自動車登録の手続きで整理しているので、自動車区分を取る前に目を通しておくと、仕入れ後の手続きの流れがつかめます。

許可が下りない欠格事由

古物営業法第4条は、申請者が各号のいずれかに該当する場合に「許可をしてはならない」と定めています。ここは警察の裁量ではなく、該当すれば不許可です。書類の不備は直せますが、欠格事由は直せません。事業計画を立てる前に、自分と、法人なら役員全員、そして管理者に予定している人が該当しないかを確認してください。

欠格事由と内容
破産 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
前科 拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わった日などから5年を経過しない者。窃盗・背任・遺失物等横領・盗品等の無償譲受け等で罰金刑に処せられた場合も5年
暴力団 集団的・常習的な暴力的不法行為のおそれがある者、暴対法の命令・指示を受けて3年を経過しない者
住居不定 住居の定まらない者
取消し 古物営業の許可を取り消されて5年を経過しない者。法人の場合は、取消しに係る聴聞の公示日前60日以内に役員だった者も含む
未成年 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。法定代理人の許可を得て営業する場合や、相続人で法定代理人が欠格に該当しない場合は除く
心身 精神機能の障害により、必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない者(規則第1条の2)
法人役員 法人の役員のうちに、以上の欠格事由に該当する者がある場合
表4 主な欠格事由(法第4条)

条文を読むときに注意したいのは、刑の種類の表記です。現行の第4条第2号は「拘禁刑以上の刑」と書いています。令和7年6月1日に施行された刑法改正で懲役と禁錮が拘禁刑に一本化されたためで、古い解説や警察の資料に「禁錮以上」とあるのは改正前の表現です。5年の起算点は、刑の執行を終わった日、または執行を受けることがなくなった日からです。執行猶予の場合は、猶予期間が満了した日が起算点になります。

前科の範囲は、古物営業法の罪だけではありません。第31条の罪に加えて、刑法第235条(窃盗)、第247条(背任)、第254条(遺失物等横領)、第256条第2項(盗品等の無償譲受け等)で罰金刑に処せられた場合も、5年間は許可されません。盗品の売買に関わる罪を重く見ている表れです。罰金刑でも該当する点は、見落とされやすいので注意してください。

未成年の扱いは、単純に「18歳未満は不可」ではありません。欠格なのは「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」です。民法第5条により法定代理人の許可を得て営業をする場合はこの欠格に当たらず、申請時に法定代理人の氏名・住所を記載した書面と、許可を受けていることを証する書面を添付します(規則第1条の3第3項第1号ニ)。婚姻して成年とみなされた未成年者も同様です。また、古物商の相続人である未成年者については、法定代理人が他の欠格事由に該当しない場合に限り例外が認められています。

成年被後見人・被保佐人の扱いも、制度の移り変わりで表現が変わっています。旧民法の「準禁治産者」は平成12年4月1日の民法改正で廃止され、現在は成年後見制度に移行しました。実務では、市区町村長が発行する身分証明書で、破産者でないことと、成年被後見人・被保佐人の登記がないことを確認します。心身の故障による欠格は、規則第1条の2が「精神機能の障害により、古物商の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者」と定義しています。心身の状況について判断に迷う事情がある場合は、申請前に管轄の警察署へ相談してください。

法人は、代表者だけを見ればよいわけではありません。第4条第11号により、役員のうちに第1号から第8号までのいずれかに該当する者があれば、法人として欠格になります。取締役だけでなく監査役や執行役も含めた役員全員について、身分証明書と略歴書をそろえる必要があります(規則第1条の3第3項第2号)。名義だけの役員を置いている会社は、ここで止まることがあります。

管理者も審査の対象です。法第13条第1項は営業所ごとに管理者を1人選任することを求め、第2項で未成年者、第4条第1号から第7号までに該当する者、心身の故障者を管理者になれない者としています。申請書には管理者の氏名と住所を記載します(法第5条第1項第4号)。個人事業主が自分で管理者を兼ねることもできますが、その場合も欠格事由の確認は同じです。

許可後の取消しも頭に入れておきます。法第6条第1項は、偽りその他不正の手段で許可を受けた場合、欠格事由に該当していることが判明した場合、許可から6か月以内に営業を開始せず、または引き続き6か月以上休止した場合に、許可を取り消せるとしています。法第24条は、違反の内容が著しく盗品の防止を阻害するおそれがあるときや、指示に違反したときに、許可の取消しまたは6か月以内の営業停止を命じられることを定めています。

必要書類と集め方

必要書類は、古物営業法施行規則第1条の3第3項が定めています。千葉県警はこれを一覧のPDFにして公開しており、個人申請と法人申請で列が分かれています。ポイントは、本人だけでなく、法人なら役員全員、そして管理者の分もそろえるという点です。同じ書類を人数分集めることになるため、ここが一番時間を使う工程になります。

書類誰の分・注意点
申請書別記様式第1号のその1からその4までの必要部分を1通。営業所ごとの取扱区分、管理者、行商の別、ネット取引の別を記載
住民票本人・役員全員・管理者の分。本籍の記載があり、個人番号の記載がないもの。外国人は国籍・在留資格等の記載があるもの
身分証明書本人・役員全員・管理者の分。本籍地の市区町村長が発行するもので、破産者でないこと等の証明。住民票とは別の書類
略歴書過去5年間の履歴。規定の様式はなく、市販の様式や任意の書式でよい
誓約書欠格事由に該当しないことの誓約。個人用・法人用・管理者用の別がある
登記・定款法人のみ。登記事項証明書と定款の写し
契約書類ホームページで取引する場合。プロバイダ等との契約書、認定通知書の写しなど
表5 古物商許可申請の必要書類(千葉県)

住民票と身分証明書は、名前が似ていて中身が違います。住民票は住民基本台帳法に基づく写しで、本籍の記載が必要です。個人番号が印字された住民票は使えないため、窓口で「個人番号の記載がないもの」と伝えて取得してください。身分証明書は、本籍地の市区町村長が発行する証明で、破産者でないことや成年被後見人・被保佐人でないことを証するものです。運転免許証やマイナンバーカードで代用できる書類ではありません。

集める順番を決めておくと動きやすいです。先に本籍地の市区町村で住民票と身分証明書を取ります。本籍地が遠方なら郵送請求になり、返送まで1週間程度かかることがあります。次に法務局で登記事項証明書を取得し、定款は会社の原本の写しを用意します。最後にプロバイダとの契約書類を確認します。契約書が見つからない場合は、WHOISの公開情報を印刷した書面でも疎明できると千葉県警が案内しています。

書類をそろえるときに、法定ではないものに時間を取られがちです。営業所の使用権原を証する書類は、古物営業法の添付書類ではありません。千葉県警も「法定書類ではないので公安委員会への提出は求めていない」と明言しています。ただし、賃貸物件を営業所にする場合は、地主や管理会社から古物営業を営むことの承諾を得ているかを、申請の受付時に確認されることがあります。図面や店内写真も、千葉県の一覧には載っていません。法定書類の一覧を先に確認し、そのうえで物件の承諾状況を整理する順番が効率的です。

申請の流れと標準処理期間

窓口は、主たる営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課(古物営業係)です。本店の所在地ではない点に注意してください。千葉県警のQ&Aは、本店が千葉市中央区にあり、主たる営業所が市原市にある場合、申請先は市原警察署になると例示しています。申請書は所轄の警察署長を経由して公安委員会へ提出されます。受付は平日の午前9時から午後4時までで、祝日、振替休日、12月29日から1月3日までを除きます。署によっては事前予約が必要なので、書類がそろった時点で電話確認をしてください。

許可の仕組みは制度ごとに窓口が違います。飲食店営業許可は保健所、古物商許可は警察署、建設業許可は県知事と、同じ「許可」でも担当が分かれます。飲食店の許可申請の流れは飲食店営業許可の取得方法にまとめていますが、窓口の場所と標準処理期間は制度ごとに確認する必要があります。

段階やることと期限
書類収集住民票・身分証明書は本籍地で取得。法人は登記事項証明書と定款、役員全員分の書類をそろえる
事前相談取扱区分、営業所の所在地、ネット取引の有無を整理して管轄警察署へ。予約の要否もここで確認
申請・納付申請書と添付書類を提出し、手数料19,000円を納付。控えを受け取る
審査期間標準処理期間は概ね40日。補正を求められるとその分延びる
許可証交付許可証を受け取り、営業所に標識を掲示する
営業開始台帳の備付け、確認義務、管理者の体制を整えてから取引を始める
表6 申請から営業開始までの流れ

手数料と支払い方法

千葉県の手数料は、新規の許可申請が19,000円です。許可証の再交付が1,300円、許可証の書換えが1,500円で、いずれも千葉県警が公開している一覧で確認できます。支払い方法は現金のほか、クレジット、電子マネー、コード決済に対応しています。かつて使えた収入証紙は令和6年12月31日で終了しているため、窓口で使える手段は申請前に確認しておいてください。手数料は申請時に納めるものです。申請を出す前に欠格事由と書類の不備を潰しておくことが、そのまま費用と時間の無駄を防ぐことになります。

標準処理期間は概ね40日です。これは千葉県警が公表している目安で、申請から許可証の交付までのおおよその日数です。書類の不備や補正があると、この期間は延びます。許可しない場合には、理由を付した書面で通知されます(法第5条第3項)。不許可の理由が欠格事由なら再申請しても同じ結果になるため、通知の内容を確認してから次の手を考えてください。

許可後の義務

許可はゴールではなく、義務のスタートです。古物商に課される義務は、大きく分けて「記録する」「確認する」「掲示する」「届け出る」の4つです。どれも警察の立入り検査(法第22条)の対象で、違反には罰則があります。

まず帳簿です。古物を売買・交換のために受け取り、または引き渡したときは、その都度、取引の年月日、古物の品目と数量、古物の特徴、相手方の住所・氏名・職業・年齢、確認措置の区分を記載します(法第16条)。帳簿は最終の記載から3年間、営業所に備え付けて保存します(法第18条第1項)。電磁的方法による記録も認められていますが、必要に応じて書面に表示できる状態にしておく必要があります。

記載範囲には線があります。売るときに記載が必要なのは、美術品類、時計・宝飾品類、自動車、自動二輪車・原動機付自転車の4区分で、それ以外の品目は売却時の記載が免除されます(規則第18条)。一方、買い取るときは、対価の総額が1万円以上なら品目を問わず記載が必要です(法第16条、法第15条第2項第1号)。自分が売却した物品をその相手方から買い受ける場合は、金額にかかわらず記載が免除されます。「安い買取りだから書かなくてよい」と思っていると、この線で抜けが出ます。記載漏れは法第33条第2号で、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。

次に本人確認です。古物を買い受け、交換し、または売却・交換の委託を受けようとするときは、相手方の住所、氏名、職業、年齢を確認します(法第15条第1項)。方法は、運転免許証などの提示を受ける、署名入りの文書の交付を受ける、電子署名付きの電磁的記録の提供を受ける、のいずれかです。対価の総額が1万円未満の取引は確認が免除されますが、自動二輪車・原動機付自転車、エアコンの室外ユニットやヒートポンプ、家庭用ゲーム機用のプログラム、CD・DVDなど、電線、グレーチング、書籍は、金額にかかわらず確認が必要です(規則第16条)。

不正品の疑いがあるときは、直ちに警察官へ申告します(法第15条第3項)。これは努力義務ではなく義務です。申告をためらって売ってしまうと、盗品等の買受けとして扱われるおそれがあります。警察から品触れ(法第19条)が届いた場合は、到達の日付を書面に記載して6か月間保存し、該当する古物を所持していれば直ちに届け出ます。盗品と疑う相当な理由があるのに売買しようとする場合は、警察本部長等から30日以内の保管命令が出ることがあります(法第21条)。

掲示義務も軽く見られがちです。営業所ごとに、公衆の見やすい場所へ国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示します(法第12条第1項、様式第13号・第14号)。ホームページで取引する場合は、古物商の氏名又は名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号の3点を表示します。標識の掲示違反は法第35条第2号で10万円以下の罰金です。地味ですが、店頭の標識が外れているだけで指導の対象になります。

管理者は営業所ごとに1人です(法第13条第1項)。営業所の業務を統括し、従業者を監督して法令を遵守させる役割を担います。自動車、自動二輪車、原動機付自転車を扱う営業所では、車体や車台番号の打刻部分の改造を見分ける知識・技術・経験が求められ、その業務に3年以上従事した者が通常持つ水準とされています(規則第14条)。管理者を変更したときは事後届出の対象です。

変更があったときの届出は、事前と事後に分かれます。営業所の名称・所在地の変更、営業所の新設・廃止、主たる営業所の別の変更は、変更の日の3日前までの事前届出です。氏名・住所、法人の代表者、管理者、取扱区分、行商の別などの変更は、変更日から14日以内の事後届出で、登記事項証明書の添付が必要な場合は20日以内になります。許可証の書換えを伴う届出は、主たる営業所を管轄する警察署でなければ受理されません。届出違反は法第35条第1号で10万円以下の罰金です。

営業をやめるときは、遅滞なく許可証を返納します(法第8条第1項)。返納すると許可は効力を失います。事業者が死亡した場合は同居の親族または法定代理人が、法人が合併で消滅した場合は存続法人または新設法人の代表者が返納します(同条第3項)。この返納を怠ると5万円以下の過料の対象です(法第39条)。名義貸しも禁止で、自分の名義で他人に古物営業を営ませると、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(法第9条、第31条第3号)。

買取りの場所にも制限があります。古物商は、営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはなりません(法第14条第1項)。出張買取や催事での買取りは、この制限に触れないかを事前に確認する必要があります。仮設店舗を出す場合は、その日時と場所を3日前までに管轄の警察署へ届け出れば、例外的に受け取れます。違反は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です(法第32条)。

盗品を買い受けてしまった場合のリスクも知っておいてください。古物商が買い受けまたは交換した古物に盗品や遺失物があった場合、被害者や遺失主は、その古物商が公の市場か同種の物を扱う営業者から善意で譲り受けた場合でも、無償で回復することを求めることができます(法第20条)。ただし盗難・遺失から1年を経過すると請求できません。仕入れの時点で確認を尽くすことが、結果として自分の在庫を守ります。

無許可で営業した場合の罰則は重いものです。法第31条第1号は、許可を受けずに古物商の営業を営んだ者を、3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています。法人の代表者や従業者が業務に関して違反した場合は、行為者に加えて法人にも同じ罰金刑が科されます(法第38条)。許可が下りる前の仕入れや売却も、無許可営業に当たります。開業予定日から逆算して、申請の時期を決めてください。

よくある失敗

一つ目は、買取りを始めた時点で無許可営業になっているケースです。販売だけを想定して準備し、開業後に買取りを始めたところで許可が必要に気づく。委託販売も同じで、預かって売る形にした時点で第1号の営業に当たります。事業の形を決める段階で、買取りの有無を先に固めてください。

二つ目は、住民票と身分証明書の取り違えです。住民票だけで申請し、身分証明書が足りない。あるいは個人番号が印字された住民票を取り直す。どちらも往復の日数がかかるので、申請の直前に気づくと標準処理期間の40日がさらに延びます。

三つ目は、法定でない書類に時間を使い、法定の書類を落とすケースです。図面や店内写真、営業所の使用権原の書類を用意したのに、誓約書や略歴書、役員全員分の身分証明書が抜けている。千葉県の一覧を印刷して、チェックを付けながらそろえるのが確実です。

四つ目は、申請先を本店所在地で考えてしまうケースです。許可申請は主たる営業所の所在地を管轄する警察署で、本店所在地とは違うことがあります。法人で本店と店舗が離れている場合は、どちらが主たる営業所かを決めてから動いてください。

五つ目は、営業所を増やすときに別々の許可が必要だと思い込むケースです。現在は主たる営業所を管轄する公安委員会の許可1本で、営業所の新設は3日前までの変更届で足ります。逆に、この届出を忘れて営業所を開いてしまうと、届出違反として10万円以下の罰金の対象になります。

六つ目は、賃貸物件の承諾確認を飛ばすケースです。法定書類ではありませんが、申請の受付時に管理会社や地主の承諾を確認されることがあります。承諾が取れていないと、書類がそろっていても話が先に進みません。物件の契約前に、古物営業を営むことを伝えておいてください。

七つ目は、台帳の記載漏れです。1万円未満の買取りは確認が免除されるため、記録も不要だと思い込むと、美術品類や時計・宝飾品類で抜けが出ます。売却時は4区分、買取り時は1万円以上で全品目が記載対象です。記載漏れは6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。

よくある質問

Q. 個人事業主でも古物商許可は取れますか

取れます。法人でなくてもよく、屋号を使う個人事業主も申請できます。必要な書類は個人申請の列になり、住民票、身分証明書、略歴書、誓約書が基本です。法人と違って定款や登記事項証明書は不要ですが、欠格事由の審査と管理者の選任は同じように適用されます。

Q. 自宅を営業所にできますか

できます。古物営業法には、食品衛生法のような施設の構造基準や面積の基準がありません。自宅の一部を事務所や保管場所として使う形でも許可は取れます。ただし、賃貸住宅なら管理会社や地主の承諾を確認されることがあり、住居としての利用と営業所の表示が両立するかを整理しておく必要があります。在庫を別の場所に置く場合は、その場所を営業所として扱う必要があるかを、申請前に管轄の警察署で確認してください。

Q. フリマアプリだけで売る場合も許可が必要ですか

仕入れて継続的に売るなど、業として古物を売買するなら必要です。フリマアプリの運営会社は古物競りあっせん業者として届出をしていますが、それは運営側の義務で、出品者の許可を代替するものではありません。生活用品を整理して単発で売るのか、仕入れて反復して売るのかで判断が分かれるため、迷う場合は取引の実態を管轄の警察署に示して確認してください。

Q. 許可に有効期限はありますか

ありません。古物営業法には許可の有効期間や更新の規定がなく、更新手続きも更新料も不要です。ただし、営業所の所在地や名称、管理者、取扱区分などに変更があれば届出が必要で、廃業したときは許可証を返納します。許可証そのものは再交付や書換えの制度があり、紛失した場合は再交付申請をします。

Q. 無許可で営業するとどうなりますか

3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(法第31条第1号)。法人が関与した場合は、行為者だけでなく法人にも同じ罰金刑が科されます(法第38条)。許可が下りる前の仕入れや販売も無許可営業に当たるため、開業日から逆算して申請を済ませてください。許可後に義務違反を重ねた場合は、許可の取消しや6か月以内の営業停止の対象にもなります。

まとめ

古物商許可は、都道府県公安委員会の許可制で、千葉県なら主たる営業所を管轄する警察署の生活安全課が窓口です。手数料は19,000円、標準処理期間は概ね40日。買取りが入る業態なら許可が必要で、扱う古物は13品目に区分し、欠格事由に該当しないことを確認します。必要書類は本人・役員全員・管理者の分をそろえ、申請後は帳簿、本人確認、標識、変更届の4つを回し続けます。

つまずきやすいのは、書類の量そのものより、順番です。買取りの有無で許可の要否が決まり、本店と主たる営業所の違いで申請先が決まり、欠格事由の有無で結論が決まります。この3点を先に固めてから書類を集めれば、40日という期間を無駄にしません。逆に、物件を契約し、仕入れを始めてから制度に気づくと、無許可営業の期間が生まれます。

許認可は制度ごとに窓口も要件も違います。行政書士が関与できる範囲と申請の進め方は行政書士の許認可申請業務にまとめています。古物商許可そのものは自分でも申請できますが、役員構成が複雑な法人や、複数の営業所・ネット取引を同時に立ち上げる場合は、先に全体の段取りを設計しておくと安全です。