「今の経験を生かして、千葉県で建設業を始めたい」「一人親方として仕事が増えてきたので、法人化を考えている」。そんなとき、開業や会社設立とあわせて確認したいのが、建設業許可のことです。

会社を設立すれば、すべての建設工事を請け負えるわけではありません。また、個人事業で取得した許可が、そのまま新しい会社の許可になるわけでもありません。

大切なのは、受けたい仕事と現在の経験・資格・資金を整理し、必要な手続きの順番を決めることです。この記事では、千葉で独立・法人化を検討している方に向けて、準備のポイントを解説します。

1.独立前に「どのような仕事を受けたいか」を整理する

最初に考えたいのは、開業後の具体的な仕事内容です。内装、塗装、電気、設備、外構など、主に請け負う工事と、想定する契約金額を書き出してみましょう。

あわせて、仕事を依頼してくれる取引先、材料や道具の調達方法、一人で対応する範囲、協力業者に依頼する範囲も整理します。売上の見込みだけでなく、受注から入金までの流れを確認すると、必要な運転資金を考えやすくなります。

例えば、材料費や外注費を先に支払い、工事代金の入金が後になる場合、仕事が増えるほど手元資金が必要になることもあります。開業費用に加えて、家賃、車両費、保険料などの毎月の支出も見積もっておきましょう。

「まずは小規模な工事から始める」「将来は元請工事を増やす」など、目指す方向が決まると、許可取得や法人化の時期も検討しやすくなります。

2.独立するとき、建設業許可は必要?

建設業許可の必要性は、個人か法人かではなく、請け負う工事の内容や金額などで判断します。元請だけでなく、下請として工事を請け負う場合も対象です。

建築一式工事以外では、原則として1件の請負代金が税込500万円以上になる工事を請け負うために、該当する業種の許可が必要です。「500万円以下」ではなく「500万円未満」が軽微な工事に当たる点に注意してください。

建築一式工事は、税込1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事が、許可を要しない軽微な工事に該当します。ただし、住宅に関する工事がすべて建築一式工事になるわけではありません。塗装や内装などの専門工事は、その工事の区分で判断します。[1]

また、注文者が材料を提供する場合は、その市場価格や運送費も加えて判定します。正当な理由なく契約を分割しても、合計額で判断されるため、契約書の金額だけを見て決めないことが大切です。[2]

なお、建設業許可が不要な規模でも、工事内容によっては電気工事業や解体工事業の登録・届出などが必要です。「小さな工事だから手続きは何もいらない」と考えず、扱う業務ごとに確認しましょう。[1]

3.建設業許可で確認される主な要件

経営に関する経験・体制

建設業許可では、建設業の経営業務を適切に管理できる体制が求められます。代表的な要件の一つが、建設業について5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を持つ常勤役員等を置くことです。ほかにも、経験や補佐体制の組み合わせによる要件があります。

ここで注意したいのは、現場で働いた経験と、経営に関する経験は別に確認されるということです。職人として長年働いてきた場合でも、その年数だけで経営の要件を満たすとは限りません。[3]

独立前の勤務先での立場や、個人事業主として仕事を請け負っていた期間などを整理しておくと、確認が進めやすくなります。

営業所技術者等の配置

許可を受ける業種に対応した資格や実務経験などを持つ「営業所技術者等」を、営業所ごとに置く必要があります。一般建設業では「営業所技術者」、特定建設業では「特定営業所技術者」と呼ばれます。

資格を持っていれば、すべての業種を申請できるわけではありません。希望する業種と資格の対応、実務経験で申請する場合の必要年数や証明方法を確認します。実際の勤務状況も関係するため、知人に名前だけ借りる方法では要件を満たせません。[3]

資金・社会保険など

一般建設業の新規許可では、財産的基礎について、自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力などの要件を確認します。「資本金が500万円ないと絶対に取れない」という意味ではありません。

このほか、適用関係に応じた健康保険・厚生年金保険・雇用保険への加入、誠実性、欠格要件なども審査されます。人、資金、営業所、保険の状況をまとめて確認することが大切です。[2]

4.個人事業と法人、どちらで始める?

個人事業で始めるか、会社を設立するかは、今後の取引や採用、管理の負担などを踏まえて考えましょう。

個人事業は、まず自分の技術や既存の取引を生かしながら、事業の規模を見極めたい方の選択肢になります。法人化を検討する場合は、取引先から法人での契約を求められているか、従業員を増やす予定があるか、将来どのように事業を引き継ぐかなども判断材料になります。

一方で、法人化には設立費用だけでなく、その後の会計・労務管理などの負担も伴います。社会保険についても、法人事業所の適用関係を確認し、会社が負担する保険料を含めて検討する必要があります。[4]

「売上がいくらになったら必ず法人化した方がよい」と一律には決められません。税負担の比較は税理士、社会保険や雇用は社会保険労務士、会社設立登記は司法書士など、それぞれの専門分野に応じて確認すると、計画を具体化しやすくなります。

5.個人の建設業許可は、法人へ自動では引き継がれない

すでに個人事業主として許可を持っている方は、法人化に伴う許可の扱いを早めに確認しましょう。個人と法人は別の事業主体のため、会社名に変更する届出だけで済むものではありません。

一定の条件を満たし、事業の譲渡・譲受けについてあらかじめ認可を受ければ、個人の建設業者としての地位を法人へ承継できる制度があります。いわゆる「承継認可」です。承継先の法人でも、許可要件を満たす必要があります。

この手続きでは、会社設立、認可申請、事業を引き継ぐ日などの日程調整が重要です。先に事業の移行を済ませてから、後追いで当然に承継できるものではありません。承継認可を利用できない場合などは、法人として新規許可を取得する方法を検討します。[5]

法人化の予定が決まった段階で、現在の許可業種、技術者、契約中の工事、希望する移行日を整理し、千葉県の窓口や行政書士へ相談しましょう。「会社を作ってから許可を考える」ことで生じる手戻りを減らせます。

6.独立・法人化の前から、証明資料を残しておく

許可申請の準備では、経験があることに加え、その経験をどの資料で説明できるかが重要です。必要な確認資料は、申請する内容や本人の経歴によって異なります。[6]

まずは、過去の確定申告書、工事の契約書・注文書・請求書、入金の記録、資格証などがどこにあるか確認しておきましょう。勤務先での経験を使う場合は、在籍や担当業務を確認するための資料についても、早めの相談が役立ちます。

資料は年度や工事ごとに整理し、「誰が、いつ、どのような工事を行ったか」が分かる状態にしておくと、その後の説明もしやすくなります。ただし、書類を集めれば必ず認められるわけではないため、必要な期間と資料の組み合わせを事前に確認してください。

千葉県では、2026年4月1日以降に受け付ける申請から、従来の健康保険被保険者証を常勤性の確認資料として使用できなくなっています。以前の申請書類をそのまま流用せず、最新の手引きを確認しましょう。[7]

7.許可取得後と、その先の事業展開も考える

許可を取得した後も、毎事業年度終了後の届出や、役員・営業所・技術者などの変更に応じた届出が必要です。許可には5年間の有効期間があり、継続して営業するには更新手続きも欠かせません。[1][8]

現場が忙しくなるほど、事務手続きは後回しになりがちです。決算後の予定や許可の満了日をカレンダーに登録し、資料を保管する担当者と場所を決めておきましょう。

将来、公共工事の元請受注を目指す場合には、対象となる工事について経営事項審査を受けることが必要です。入札参加資格の申請なども含め、希望する発注機関の条件に合わせた準備を進めます。[9]

最初からすべてを整える必要はありませんが、「今必要な手続き」と「次の段階で必要になる準備」を分けておくと、目の前の仕事と事業の成長を両立しやすくなります。

8.千葉で建設業の独立・法人化をお考えの方へ

独立や法人化を円滑に進めるには、会社を作る手続きだけでなく、受注予定の工事、許可要件、資金、事業を切り替える時期を一緒に考えることが大切です。

「自分の経験で許可が取れるのか」「個人と法人のどちらで申請するか迷っている」「今の許可を引き継いで法人化したい」。こうした疑問は、方針が固まる前の段階から整理しておくと、その後の準備を進めやすくなります。

行政書士法人LDパートナーズでは、千葉県で建設業を営む方の建設業許可や各種申請に関するご相談を承っています。現在の状況と今後のご希望を伺い、必要な手続きや準備を一緒に確認いたします。独立・法人化をお考えの方は、お問い合わせフォームや公式LINEからお気軽にご相談ください。


※2026年9月25日時点で確認した公式情報に基づく一般的な解説です。個別の要件・必要書類は申請内容により異なります。

参考資料

[1] 千葉県「建設業許可について」
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/jigyousha/kensetsu/kyoka.html

[2] 千葉県「建設業許可の手引き・建設業の許可について~許可の基準(令和8年4月版)」
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/documents/02kensetu.pdf

[3] 国土交通省「許可の要件」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000082.html

[4] 日本年金機構「事業所に関する手続きをする」
https://www.nenkin.go.jp/service/mokutekibetsu/jigyosho/jigyosho/index.html

[5] 千葉県「建設業許可の承継の手引」
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/documents/shoukeitebiki.pdf

[6] 国土交通省「許可申請の手続き」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000086.html

[7] 千葉県「建設業許可の手引き」
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/kensetsu.html

[8] 千葉県「許可取得後の届出事項等」
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/tetsuzuki/documents/06kensetu.pdf

[9] 千葉県「経営事項審査の説明書・様式ダウンロード及び経営事項審査Q&A」
https://www.pref.chiba.lg.jp/kenfudou/nyuu-kei/kensetsukouji/keieijikou/chiji/tebiki.html