公共工事の受注に向けて経営事項審査(経審)を申請する際は、決算書類だけでなく、工事実績や技術職員、社会性等に関する資料も準備する必要があります。

「何から始めればよいのか」「決算変更届と経審はどこに提出するのか」「結果通知をいつまでに取得すればよいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。

この記事では、千葉県知事の建設業許可を受けた事業者を対象に、経審の申請手順、必要書類、費用、期限管理のポイントを解説します。2026年7月1日施行の改正にも対応しています。

※2026年10月5日時点で確認できる公表資料に基づいています。国土交通大臣許可の事業者は、申請先・手続きが異なります。

経営事項審査と入札参加資格申請の違い

経営事項審査は、建設業者の経営状況や施工能力などを評価する制度です。法令で定められた公共工事を発注者から直接請け負う場合に必要となります。

一方、自治体などの入札に参加するためには、発注機関が定める入札参加資格審査の申請も必要です。

経審の結果通知を取得しただけで、すべての公共工事の入札に参加できるわけではありません。受注を希望する自治体・機関の受付期間や必要書類も、あわせて確認しましょう。

千葉県で経審を申請するまでの流れ

千葉県の手引きでは、次の順序で手続きが案内されています。

  1. 登録経営状況分析機関に経営状況分析を申請する
  2. 経営状況分析結果通知書を受け取る
  3. 決算変更届(事業年度終了届)を提出する
  4. 経営規模等評価・総合評定値の申請を行う
  5. 結果通知書を受け取る

必要資料の収集や申請書の作成は、並行して進めると効率的です。ただし、各手続きで使用する数値や資料の整合性を確認し、提出時には必要書類をそろえることが大切です。

1.経営状況分析を申請する

経営状況分析は、国土交通大臣の登録を受けた分析機関に申請します。

申請前に、利用する分析機関の必要書類、料金、申請方法、結果通知までの所要日数を確認しましょう。

準備段階では、税務申告用の決算資料を整理するとともに、建設業の様式に合わせた財務諸表との対応関係を確認しておくと、その後の手続きが進めやすくなります。

2.決算変更届を提出する

決算変更届は、建設業許可を受けた事業者が毎事業年度終了後4か月以内に提出する届出です。税務署への確定申告とは別の手続きになります。

工事経歴書、直前3年の各事業年度における工事施工金額、建設業法の様式による財務諸表などを準備します。

経審を受ける場合には、工事経歴書の作成方法にも注意が必要です。工事の業種区分や元請・下請の区分を確認し、帳簿や契約関係資料と照合しておきましょう。

3.経営規模等評価・総合評定値を申請する

決算変更届などの準備を整えたうえで、経営規模等評価申請と総合評定値の請求を行います。

総合評定値は、一般に「P点」と呼ばれるものです。公共工事の入札参加資格審査で求められることが多いため、申請時には希望する発注機関の要件も確認しておきます。

経審の申請に必要な主な書類

申請書類は、会社の状況、受審する業種、申告する評価項目によって異なります。主な書類と確認事項は次のとおりです。

書類・資料主な確認内容
経営規模等評価申請書・総合評定値請求書申請者情報、審査基準日、受審業種
工事種類別完成工事高・元請完成工事高業種別の工事実績、集計対象期間
技術職員名簿技術職員の資格、雇用状況など
その他の審査項目(社会性等)該当する評価項目と確認資料
経営状況分析結果通知書審査基準日や申請内容との対応
工事実績・技術職員等の確認資料契約関係資料、資格証明、雇用関係資料など
該当する加点項目の資料建設機械、各種認証・制度への取組など

これは書類の概要です。実際の申請では、千葉県が公開する最新の説明書と様式に従い、提出書類・確認資料を個別に確認してください。

資料を整理する際は、「申請書のどの項目を、どの資料で確認するのか」が分かるようにしておくと、記載漏れを見つけやすくなります。

決算変更届と経審では提出先が異なる

千葉県知事許可の事業者の場合、決算変更届と経審申請を同じ窓口へ提出するとは限りません。

手続き提出先
経営状況分析登録経営状況分析機関
決算変更届建設業許可の管轄土木事務所等
経営規模等評価・総合評定値の申請千葉県県土整備部 建設・不動産業課

経審申請の郵送先は、〒260-8667 千葉市中央区市場町1-1 千葉県県土整備部 建設・不動産業課です。決算変更届については、自社の所在地を管轄する提出先を別途確認しましょう。

申請方法は郵送または電子申請

千葉県では、郵送のほか、建設業許可・経営事項審査電子申請システム「JCIP」を利用できます。従来の会場審査は終了しています。

電子申請にはGビズIDが必要です。初めて利用する場合は、アカウントの準備や添付資料のPDF化も含めて予定を組みましょう。

また、2026年4月1日からは、郵送申請の手数料についても電子納付が開始されています。郵送申請の電子納付と、JCIPによる電子申請は別の仕組みなので、利用する方法に応じた案内を確認してください。

経審の申請費用

千葉県で経営規模等評価と総合評定値の請求を同時に行う場合、手数料は次のとおりです。

申請業種数手数料
1業種11,000円
2業種13,500円
3業種16,000円

申請業種が1業種増えるごとに、2,500円が加算されます。

このほか、登録経営状況分析機関へ支払う分析料金が必要です。行政書士に依頼する場合の報酬や、証明書の取得費用なども分けて見積もっておきましょう。

2026年7月改正を踏まえた準備のポイント

2026年7月1日以降の申請には、改正後の審査基準が適用されます。過去の申請書を流用する場合も、最新様式への置き換えが必要か確認してください。

今回の改正では、主に次の項目が見直されています。

  • 「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」に関する評価の新設
  • 建設キャリアアップシステム(CCUS)の就業履歴蓄積に関する配点の見直し
  • 評価対象となる建設機械への不整地運搬車・アスファルトフィニッシャの追加
  • 雇用保険・健康保険・厚生年金保険の未加入に関する減点項目の削除

社会保険に関する減点項目の削除は、法令上の加入義務がなくなるという意味ではありません。

また、自主宣言に関する評価には、宣言日と審査基準日の関係などの条件があります。申請直前に対応すれば必ず評価されるとは限らないため、決算前から確認しておくことが大切です。

結果通知と有効期間を踏まえて予定を組む

経審の有効期間を考える際の起点は、結果通知書の受取日ではなく、通常は決算日に当たる「審査基準日」です。

法令上、対象となる公共工事を直接請け負うには、契約締結日の1年7か月前の日の直後の事業年度終了日以降を審査基準日とする経審を受けている必要があります。一般に「審査基準日から1年7か月」と説明されるため、通知書の交付日から数えないよう注意してください。

継続して公共工事を受注する場合は、毎年の申請を計画し、結果通知の空白期間を生じさせないようにしましょう。

千葉県は、郵送申請と電子申請について、それぞれ結果通知書の発送予定日や申請時期の目安を公開しています。入札参加資格申請の締切から逆算し、書類の補正に要する時間も見込んで準備することをおすすめします。

申請前に確認したいこと

提出前には、次の点を確認しましょう。

  • 受審する業種と工事実績の分類が合っているか
  • 完成工事高の集計期間や税込・税抜の扱いがそろっているか
  • 技術職員の資格・雇用状況を確認できる資料があるか
  • 申告する評価項目の根拠資料がそろっているか
  • 改正後の様式を使用しているか
  • 結果通知の取得予定が入札参加資格申請に間に合うか

特に初回の申請では、過年度の資料を探すために時間がかかることがあります。決算資料、工事関係資料、職員関係資料を担当者ごとに分担して集めると、準備を進めやすくなります。

千葉県の経審申請に関するご相談

経審申請では、経営状況分析、決算変更届、工事実績や技術職員の確認など、複数の手続きを見通して準備することが大切です。

行政書士法人LDパートナーズでは、千葉県の建設業者様からの経営事項審査に関するご相談を承っています。

「初めて経審を受けたい」「必要書類を整理したい」「入札参加資格申請に向けて準備したい」といった場合は、お問い合わせください。ご相談内容を伺い、必要な手続きや準備事項をご案内します。

参考資料